珍しく透析の話をした | 現在と未来の狭間

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文芸と自転車、それに映画や家族のこと、ときどき人工透析のことを書きます。

今の会社に入社してから、普段は透析の話をすることはほとんど無い。基本、静かな職場なので自分の話をする機会はあまり無い。困ったことがあれば都度、相談はするけれど、最近はそれも少なくなってきた感じである。それほど不都合もないということ。

それが今日は珍しく透析の話をした。

さて帰ろうかとエレベーターホールに立っていたところ背後に誰かが立つ気配を感じた。振り返ると、とある役員さまの姿が。

「カバン、開いているよ」と声をかけてきた。カバンを見るとチャックが開いていて中身が見えていた。

「大したものは入っていないので大丈夫です」と笑いながら答える。エレベーターに乗ってからも会話が続く。

「その赤い赤十字の入ったのはなんだね?」

「あ、これはヘルプマークと言って、"私は内部疾患があります"と周囲に伝えるものです。私は会社からすぐ近くのクリニックで週3回、人工透析を受けているものですから」と伝えると、役員さまは興味深く、いろいろと質問をされた。

「週3回ということは、1回何時間の治療を受けるの?」

「私は今は5時間半ですね」

「それは大変だなあ。昼ぐらいから受けに?」

「あ、会社が配慮してくれまして、私の場合は月、水、金は4時まで働いて、その後すぐに透析に行きます」

「4時からだと5、6、7、8、9時過ぎに終わるのか」

「4時に行ってもすぐに始められるわけではないので、穿刺してもらうのを待ちます。だいたい4時半スタートで終わるのは10時くらい。止血が終わって着替えてクリニックを出るのは10時半くらいですね」

「そりゃあ大変だ」

「いや、いや、もう慣れっこですよ」

と、言った具合に質問がうまいので、ペラペラと喋ってしまう。聞けば役員さまは過去にシャントに関わる仕事をしていたことがあるとのこと。なるほど、それで質問て的確なのだなあ。

「バルーンカテーテルを使ったPTA処置は受けたことがある?」

「あります、あります。あれには本当にお世話になりました」

「クリニックでもPTAは受けられるの?」

「総合病院で血管に詳しい先生がいたところではやってくれましたね。クリニックだと大学病院か、シャント専門のクリニックを紹介してもらうことになります」

「シャントだけで専門のクリニックがあるんだ!」

「飯田橋にありますね。シャント作ったり、PTAしたり、シャントの検査などの専門のところです」

「透析を受ける人でも時間が少ない人もいるよね。あれは何から決めるんだろう?」

「透析を始めたばかりで、血液検査でそれほど数値が悪く無い人は3時間透析とか、週2回とかで始めることはありますね。私も最初は3時間半からスタートでした。あと腹膜透析と併用されている人もいると思います。」

「週3回ということは、週のどこかで間隔が空くのかな?」

「そうですね。金曜日に受けた後は、土、日と二日空きます」

「じゃあ、日曜日くらいに体調に影響が出たりする?」

「日曜日くらいまでなら大丈夫ですね。どちらかといえば月曜日の昼間に時々、不調を感じることもありますが」

「ああ、そうかー。月曜日の透析を受けるころには3日近く空いちゃうもんね」

「そうです、そうです」

と、言った具合にエレベーターを降りてからも10分くらいは話をさせてもらえた。久しぶりに透析の話をたくさんしたので、ちょっと嬉しい。実を言えばウチの会社では透析に関連した医療機器は取り扱ってはいないのだが、役員さまはアンテナが高い。これも何かの機会だと考えて、いろいろ質問してくれたのだろう。

「また、話を聞かせてよ」

「会社のお役に立つようでしたら是非!」と答えると、役員さまはにこやかに肩を叩かれて喫煙所へ向かわれた。

今日はわりと単調に仕事をしていたのだが、最後にちょっと盛り上がったかな。やっぱり人と関わるのは面白い。黙々と仕事をしているのも嫌いじゃないんだが、誰かと関われるのはやっぱり良いかな。

こうしたことがきっかけで、また社内で透析の話ができることがあると良いな。

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