和食では使われることの多い薬品の一つに、明礬(ミョウバン)があります。
今回はこのミョウバンの活用方法、そしてなぜそうなるのかという理論を説明していきます。
そもそもミョウバンとは何か!?ということです。
ミョウバンとは
正式名は硫酸アルミニウムカリウムといい、
アルミニウムと鉄が硫酸と結合してできた物質です。
これを加熱して水分を飛ばしたものが焼きミョウバンで、
毒性がないということで調理に用いられるます。
ただ最近になって、アルミニウムの脳蓄積と痴呆症の関係性が議論されるようになってきており
ミョウバンの使用が議論されるようになったのも事実です。
ちなみに、ミョウバンはベーキングパウダーの成分の一つにもなっています。
そして、弱酸性というのも特徴の一つです。
ミョウバンの活用
では料理におけるミョウバンの活用方法ですが、大きくは2つあります。
①煮崩れ防止
②色出し・色留め
です。
では詳しく解説していきます。
①煮崩れ防止
煮崩れ防止の効果があり、
芋類(里芋、さつま芋、じゃが芋、長芋等)炊く際、 栗の蜜煮や金柑の蜜煮を作る際に、火にかける前にミョウバン水に浸けることがあります。
浸ける水のミョウバンの濃度は約0.4〜0.5%位です。
(水1L(1,000cc)に対して4〜5g)
こうすることで煮崩れ防止に繋がります。
ではなぜ煮崩れしにくくなるのかという理由です。
野菜は無数の細胞と細胞が繋がりあってできている。
その細胞の間にはペクチンというものが存在し、細胞同士をくっつけているセメントの役割を果たしています。
野菜を炊くと柔らかくなるのは、ペクチンが水と結びついて溶けた状態、緩んだ状態になるからです。
芋類を炊く前にミョウバン水に浸けると、ミョウバンの成分であるアルミニウムや鉄のイオンがペクチンと結合するので、水に溶けなくなる。結果、細胞と細胞の繋がりが緩まず、煮崩れしにくくなるという理屈です。
また、ミョウバンにはタンパク質の凝固を助ける作用もあります。
これによって芋に含まれるタンパク質も固くなり、芋全体の組織が締まることになる。
料理人同士の会話では「ミョウバンで締める」という言葉が出てくることがありますが
理由はこういうことである。
きゅうりや茄子などの漬物を漬ける際にも
ミョウバンで締めると歯触りが良い漬物に仕上がります。
②色出し・色留め
まずはそもそも、色出し・色留めとはどういうことか理解しておきましょう。
色がきれいに発色するようにする工夫を「色出し」
発色した色や食材の元の色が退色したり、ボケたりしないようにするための工夫を「色留め」
といいます。
和食ではその素材の持ち味を活かすという考え方があります。
素材の持ち味を活かすということは、味だけではなく色もそうで、
その色はその素材から引出された美しい色であるべきです。
和食の技術は決して味だけではなく、美しさにも見られるのです。
色出しのわかりやすい例で言うと
茗荷の甘酢漬けや、梅干しの赤紫蘇漬けである。
茗荷や赤紫蘇にはアントシアンという色素が含まれていて、アントシアンは酸性になると赤く発色する性質があります。
米酢や穀物酢に含まれる酢酸や、
梅に含まれるクエン酸、リンゴ酸によって綺麗な色を作り出すのです。
ここからが本題ですが
茄子を漬け物にする際、色出し・色留めの目的でミョウバンが用いられます。
茄子の表面にミョウバンをすり込ませたり、ミョウバン水に浸したりするのです。
茄子の色素もアントシアン系の色素であり、ナスニンというものです。
ナスニンと、ミョウバンの鉄やアルミニウムが結合すると色が綺麗な青紫色になります。
さらにこのことで、色は安定し艶やかな茄子を保ってくれるのです。
ミョウバンは弱酸性ですので、アントシアンと合わさって、色出しにつながってもいます。
糠漬けの床に古釘を入れることがありますが、これも同じ理屈で、
ナスニンと古釘から出る鉄イオンが結合するためです。
同じような例で
黒豆を炊くとき、鉄鍋で炊いたり、鉄釘を加えたりすることがあります。
黒豆の色素もアントシアン系で、黒々した美しい色に仕上がります。
これも、色留めの一つと言えるでしょう。
調理をしていくときには
みんなこうしているから…とかではなく
理屈を深く知っていくことが、加速度的に料理を上達させてくれます。
みなさんのおいしい料理作りの参考になれば幸いです。
頑張って下さい。
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