ショーケンこと萩原健一さんが2019年3月26日にお亡くなりになって、早くも4年8か月が過ぎました。ちょうどその頃、東京から大阪に転勤が決まり、単身赴任の準備でバタバタしていました。あれからずいぶん時間が過ぎました。

 

刑事ドラマの歴史に輝く「太陽にほえろ」のマカロニ刑事、倉本聰さん脚本「前略おふくろ様」の板前の好青年。「テンプターズ」や「大阪で生まれた女」などミュージシャンの顔を思い浮かべる方もいるかと思います。

 

私にとってのショーケンは「傷らだけの天使」です。

 

1974年秋から75年春にかけて日本テレビ系で放送された連続ドラマで、無名の新人だった水谷豊さんとコンビを組み、探偵事務所の下働きをする若者を演じました。ドラマ自体も魅力いっぱいでしたが、記憶に残っているのはオープニングです。

 

 

井上堯之バンドのトランペットとともに、なぜか巨大なヘッドホンとゴーグルをしたショーケンがむっくり起き上がり、朝ごはんを食べ始めます。トマトにかぶりつき、魚肉ソーセージをほおばり、牛乳瓶のキャップを口であけ、そしてコンビーフを缶詰ごと丸かじりします。

 

 

カッコよかった!

 

今思い返すと、コンビーフを丸かじりするショーケンに「無限の自由」を感じたのかもしれません。

 

「コンビーフを丸かじりしたい!」

 

何度か母親に訴えました。ですが、当時、まだ小学2年生。母からは

「何バカなこといってるの! お腹こわすでしょ」。そのたびに却下されました。

 

いつの間にか、「傷だらけの天使」も「コンビーフ」も記憶から遠ざかりました。

大学生になり、東京で一人暮らしをはじめた時、一瞬、頭をかすめましたが、当時、全く自炊をしておらず、コンビーフ自体、食べることはありませんでした。

 

気がつくと49年が経っていました。

 

高橋ユキヒロさん、坂本龍一さん、谷村新司さん、もんたよしのりさん、大橋純子さん、KANさん。今年は次々と悲しいお知らせが流れました。今は亡き大スターを思い出すうちに、「ショーケン=傷だらけの天使」がよみがえってきました。

 

「コンビーフの丸かじり」をしてみたくなりました。

 

妻にいえば「何をバカなこと言っているの」と母と同じことを言われる気がします。

 

しかし、49年がたち、私も自立した大人です。最近、妻は仕事で忙しく、自宅で一人夕食をとる機会も増えました。

 

「チャーンス!」

 

早速、近所のスーパーに出かけました。

 

「あれ? ない!」

 

3軒めぐりましたが、どこも置いてあるのは小型のプラスチック容器。付属した細い棒を使って、缶の表面を剥がしていく当時のものがありません。

 

いやな予感がしました。

 

調べてみると、案の定、2020年1月にショーケンが丸かじりした缶は販売終了していました。当時、ちょっとしたニュースになったようですが、全く知りませんでした。

 

 

仕方なく、現在のものを買ってきました。

 

 

どうにも感じが違います。

それでも丸かじりしようとフタを開けたところ

 

 

できません!

 

昔の缶↓でないと

ショーケンのような丸かじりはできないのでした。

 


仕方なくスプーンで食べながら思いました。


「もうショーケンの真似はできない」

「若い時、やりたいと思ったことは、若いうちにやっておくべきだったなあ」


少しほろ苦いコンビーフ。美味しかったです。