「1Q84」で、私の中で、最も印象に残った言葉です。
タイのマッサージでは、基本的にクーラーががんがん効いています。
それは、私たちのためではなく、マッサージ師のためです。
たしかに、タイマッサージはスポーツのように身体を動かすので、施術師のほうは、汗が噴き出るくらい大変なのです。
そのため、こちらはめちゃくちゃ寒いので、
「ちょっと寒いんだけど・・・」
というと、ちょっと融通の利くマッサージ店だと、クーラーを調節するわけではなく、タオルをかけてくれます。
マッサージの場合、これでも許せるのですが、
スパにいってこの対応だと、さすがに
「一体どっちが主体だと思ってるの!」
と怒りたくなります。
でもそれは、チップ社会が昔から根づいていてサービス精神が浸透している西洋や、
言外のしぐさから顧客の裏を慮る(おもんばかる)ことを粋としてきた日本ならではのことなのかもしれません。
イギリスの占領下にあった香港や、シンガポールのスパで
「ちょっと寒いんですけど」
というと、
「失礼致しました。ただちに空調を調整致します」
と丁寧な英語が返ってきます。
というか、5つ星クラスのスパの場合、10分おきくらいに、
「寒くはありませんか」
とむこうから丁寧に小まめに聞いてくれます。
なぜなら、裸で受けるスパは、たとえ10分前には全く寒くなくても、徐々に冷えてくることは往々にしてあるからです。
こちらから、10分前に聞かれたときには「寒くない」と答えた手前、わずか10分後に
「やっぱり寒くなりました」
とは言い出しにくい雰囲気があるのです。
それを察知しての配慮でしょう。
案の定、タイのスパは、クーラーががんがん効いています。
そして
「ちょっと寒いんですけど」
といっても、何もしてくれません。
「クーラーを下げてくれませんか」
と(勇気を出して)言ったら、
「でも私は暑いんです」
という答えが返ってきました。
わざわざ言わなければ分からないことは、言っても分からない
ちなみに、チェンマイでも、フォーシーズンやマンダリンオリエンタルといった超高級ホテルのスパにいくと、
さすがにこの辺りの対応は完ぺきで、香港やシンガポールのスパと比べても遜色ありません。
値段も、遜色がなく、全くタイ価格ではありません。
フォーシーズンチェンマイのスパは、3時間で3万円です。
タイのマッサージの相場が2時間750円であることを考えると、これがいかに現地の人にとって法外か分かります。
(思わず、「スパの消費税より安いじゃん!」と思いました)
それでも、値段はうまくついているものです。
たとえ、数カ月に1回でもいいから、この法外の値段で普段得られない癒しを体験したくなります。
何も考えなくていい時間が止まる瞬間。
何の気遣いもしなくていい至高のひととき。
他の店であれば、わざわざ言わなければ分からないことを、
言わないうちに、向こうから汲み取ってくれる「相手中心のサービス精神」
があるからこそ、人はそれでもマッサージの30倍近いお金を払っていい、と思うのでしょう。
(そうでなければ、チェンマイでフォーシーズンスパの経営は成り立たないはずです)