NHK BS プレミアムシネマにて、「バベットの晩餐会」を、鑑賞しました。

 

エノテカのコラムにて、「ワインを飲みたくなる映画」として、紹介されていましたので、

 

かねてより、一度観てみたいと思っていた映画です。

 

 

 

 

美食家にて洋画にも造詣が深い、美しき友人様ラブラブ!からも、事前にメールを頂き、

 

忘れる事なく予約録画ニコニコOK

 

お知らせ下さり有難うございますドキドキ

 

 

 

 

原作は、20世紀のデンマークを代表する女流作家「カレン・ブリクセン」

 

尚、彼女の英語のペンネーム、アイザック・ディネーセンとして発表された小説も、

 

タイトル「愛と哀しみの果て」 メリル・ストリープ、ロバート・レッドフォード主演にて映画化、

 

1985年に公開されているそうです。

 

 

本作 「バベットの晩餐会」は、1987年公開のデンマーク映画にて、

 

アカデミー外国語映画賞を受賞。

 

 

 

 

監督・脚本は、ガブリエル・アクセル

 

簡単なあらすじは、以下の通り↓

 

 

 

(上記2点は、NHKのHPよりお借りしました。)

 

 

主演のバベットは、ステファーヌ・オードラン

 

 

 

 

舞台は、19世紀末、1885年のデンマークの海辺の小さな漁村

 

常に雲が重く垂れこめ、強風が吹く、荒涼とした灰色の小さな村です。

 

 

 

 

かつて、この地で、プロテスタント改革派の牧師が教会を作り、布教をしていました。

 

しかし、牧師は、かなり前に既に亡くなり、

 

 

 

 

厳格だった父の教えを守って、未婚の老姉妹二人が、清貧な暮らしを続けながら、

 

村の信者たちのお世話をしています。

 

 

 

 

二人の名前は、

 

 

 

 

宗教改革者の名前にちなみ、姉はマーチーネ(↓右)、妹はフィリパ(左)

 

 

 

 

今はすっかりおばあさんですが、数十年前、若かりし頃の二人は美しく、

 

多くの若者が、彼女達目当てに、教会に集まっていました。

 

(↓左が姉のマーチーネ、右が妹のフィリパ)

 

 

 

 

その中の一人が、スウェーデン(多分貴族)の士官のローレンス・レーヴェンイエルム

 

 

 

 

彼は、借金を作ったりと素行が悪く、怒った父から、デンマークに住む伯母の家にて、

 

謹慎するように命じられ、村の近くにやって来ました。

 

ある日、村人と共にいた姉娘を見かけ、美しく清らかな笑顔に、一目惚れしてしまいます。

 

 

 

 

 

信仰心厚い叔母のコネもあり、信者達の集会に潜り込み、常にマーチーネの傍らで、

 

毎日牧師の教えを聞き続けます。

 

しかし、彼は、ある日突然悟り、自ら身を引いて、この地を去る事を決意します。

 

 

 

 

万感の思いを込めて、マーチーネの手に、別れの口づけをし、

 

 

 

 

家を出て、去って行くローレンス。

 

 

 

 

マーチーネも、ローレンスに心惹かれていましたので、思わず彼の後を追いかけます。

 

 

 

 

が、父の教えに従い、父と神に仕える道を選び、去って行くローレンスを、

 

マーチーネは、黙って見送りました。

 

 

一方、フランス人の著名なオペラ歌手 アシール・パパンは、

 

 

 

 

多忙なツアーの途中、心を休めたくなり、

 

デンマークの静かな田舎の漁村を紹介され、村の宿屋にやって来ました。

 

ある日、賛美歌を歌う天使のような美しい歌声に、導かれ、教会へと。

 

 

 

 

美しい歌声は、妹のフィリパ(左側)でした。

 

 

 

 

彼は、フィリパの美しい歌声に心を奪われ、父の牧師に、彼女の歌のレッスンを

 

したいと申し出ます。

 

 

 

 

こうして始まった、フィリパの歌のレッスン

 

 

 

 

自分と共に一緒に行こうと誘っているのは、オペラの歌詞です。

 

 

 

 

フィリパの「行きたいけれど行けない」 これも歌詞。

 

 

 

 

どこかで聞き覚えがある歌だと思い確認しましたら、モーツアルトのオペラ「ドン・ジョヴァンニ」

 

村人の結婚式に遭遇したジョヴァンニが、花嫁のツェルリーナを口説くシーンですね。

 

以前「ドン・ジョヴァンニ」を観劇した折のエントリーをリンクしましたので、

 

宜しかったらどうぞ → オペラ「ドン・ジョヴァンニ」

 

 

熱唱し終わった後、感極まり、フィリパを抱き寄せ、おでこにキスするパパン。

 

 

 

 

フィリパもパパンに心惹かれ、また同時に、パリでオペラ歌手になりたいという思いもあり、

 

葛藤する気持ちが、オペラのこのシーンの歌にぴったりでした。

 

が、彼女が出した結論は、パパンに付いていくことではなく、

 

父の教えに従い、父と神に仕える道でした。

 

 

 

 

こうして、姉妹は、心惹かれる男性からの求愛を断り、結婚する事なく、

 

清廉な人生を過ごしながら、村で年老いて行きます。

 

 

それから、どのくらいの年月が経ったのでしょうか。

 

既に父の牧師は亡くなり、1871年の9月のある晩

 

 

 

 

まるで台風のような激しい雨風の中を、よれよれになって、一人の女性が訪ねて来ます。

 

 

 

 

驚いて、彼女を家に招き入れる姉妹

 

 

 

 

濡れた顔を拭き、温かいお茶を飲ませ

 

 

 

 

彼女が携えて来た手紙を読みます。

 

若かりし頃、関わりを持ったフランス人のあのオペラ歌手、パパンからの手紙でした。

 

 

 

 

彼女の名は、バベット。

 

1871年9月に起こったパリ・コミューンにより、夫と息子を殺され、パリを追われ、

 

デンマークに亡命して来たのです。

 

パパンは、手紙にて、バベットを、家政婦として雇い、面倒を見て欲しいと。

 

最後に、彼女は、料理人ですとの一言が添えられていました。

 

バベットの身の上を気の毒に思いつつも、清貧な生活をしている姉妹には、

 

バベットを雇う余裕はなく、断ります。

 

が、給料はいらないからとバベット。

 

こうして、バベットは、貧しい漁村の清貧な姉妹の家政婦になりました。

 

 

村の生活は貧しく、食べ物は、干し鱈と固いパンと水くらい。

 

塩分たっぷりの干し鱈は、水で戻し、水の中に入れて茹でて食べるだけ。

 

固いパンも、水で戻し、ビールを少し加え更にドロドロに煮て、

 

おかゆのようにして↓食べるだけです。

 

 

 

 

姉妹がバベットに教えながら、見本として作ったこの見るからに美味しくなさそうな食事を、

 

台所で一人食べながら、バベットは、何を思ったのでしょうか?

 

 

 

 

家政婦となったバベットは、少ないお金の中から家計をやりくりをして、

 

 

 

 

少ない予算で、工夫して美味しい食事を作って行きます。

 

村にある小さな食料品店で、上手に買い物をし、

 

海辺では、漁師が採ったばかりの鮮魚(かれい?ひらめ?)を、値切ったりしながら、

 

良い状態の食材を、安く手に入れ、時には、野にて、野草も摘みます。

 

夕陽の中、買い物籠を抱えたバベットと野の映像が、美しいです。

 

 

 

 

摘み草(ハーブ系でしょうか?)も最後に加えた野菜のスープは、美味しそう~。

 

 

 

 

姉妹が食料を届け、お世話をしている村人も、美味しそうな顔で、スープをすすり、

 

普通のパン(バベットが焼いているのかしら?)を食べています。

 

(かつての差し入れは、これ↓だったのに、雲泥の差ですね・笑)

 

 

 

 

姉妹だけでなく、村人達も、バベットが村にやって来て、姉妹の家政婦をしている事を、

 

本当に有り難く思い(バベットがテキパキと家事や料理をする事で、姉妹が村人の世話に

 

専念出来る事もあり)、彼女に感謝しています。

 

こうして、14年の歳月が流れました。

 

バベットは、今はすっかり村の一員。

 

姉妹にも、村にも、無くてはならない存在になっていました。

 

パリとバベットを唯一繋ぐのは、年に一回、パリの友人が購入し、送ってくれる

 

宝くじの手紙だけになっていました。

 

 

 

 

 

こうして、映画の冒頭(1885年)に、お話は戻ります。

 

村の信者達は、すっかり年取り、人数も減り、信仰心も衰えを見せ始め、

 

集会では、互いに互いをののしり合う始末です。

 

 

 

 

険悪な瞬間、さっとドアを開け、お茶を出し、その場を、タイムリーに救うバベット。

 

賢い人です。

 

 

 

 

姉妹は、バラバラになりつつある村人達の心を、再び一つにするため、

 

父の生誕100年を記念して、ささやかな祝いの会を催し、村人を招待する事を思いつきます。

 

 

そんな折、パリからバベットに手紙が届きました。

 

なんと、バベットに、1万フランの宝くじが当たったと言う知らせでした。

 

 

 

 

姉妹は、このお金でバベットがフランスに戻るであろうと予想し、彼女がいなくなることを、

 

寂しく思いますが、その思いは顔には出さず、バベットの幸運を、喜びます。

 

 

一方のバベットは、屋根裏の自室や、

 

 

 

 

海辺で、当たった1万フランをどう使おうかと、一人思い悩みます。

 

 

 

 

そして、ある決意をし、姉妹に告げます。

 

亡き牧師の生誕100年の祝いの晩餐会の食事を、作らせてほしい。

 

そこで、フランス料理を作りたい。

 

また、費用は、自分が出したいという申し出でした。

 

 

 

 

姉妹は、最初は、費用をバベットが出す事を固辞します。

 

が、フランスにバベットが戻る前の、最初で最後の彼女からのお願いだと思い、

 

バベットからの申し出を、受ける事にします。

 

 

 

 

こうして、バベットは、数日間休暇を取り、フランスに、晩餐会の料理の材料を調達に。

 

晩餐会の数日前、調達した材料が、舟にて、村に届きました。

 

 

 

 

リヤカーに調達した材料を乗せ、姉妹の家まで、運ぶ一行。

 

 

 

 

その様子を、村人達が、恐る恐る、見ています。

 

先頭のバベットが運ぶ籠の中には、なんと、生きたうずらが沢山、蠢いています。

 

 

 

 

 

そして、リヤカーからはみ出しているのは、大きなウミガメ。

 

 

 

 

こちらも生きていて、動いています。

 

台所に、荷物を運びこみ、荷解きをするバベット。

 

顔を出した姉妹に、神のご加護で、材料が無事に届きましたと、

 

 

 

 

とても高価な赤ワインを、満足気に見せます。

 

クロ・ド・ヴージョの1845年もの。

 

 

 

 

しかも、「フィリップの品です」と。

 

 

 

 

クロ・ド・ヴージョは、フランス・ブルゴーニュ、コートドニュイの由緒正しき特級畑。

 

今はお隣のヴォーヌ・ロマネや、ミュジニーに挟まれ、埋没していますが、

 

当時は、きっと、ブルゴーニュのピノノワールとしては、No.1の有名な畑だったのでは?

 

更に、フィリップは、良く分かりませんが当時有名な作り手だったのではないかと?

 

しかも、1845年ということは、40年前の大変貴重なヴィンテージワイン。

 

クロ・ド・ヴージョのお隣の特級畑のエシェゾーで想定しても、最低でも、1本30万円以上は

 

しそうな高価なワインではないかと思われます。

 

それが、映像で見る限り、最低4本も目

 

赤ワインだけで、一体いくらになるのでしょうか。

 

 

 

もっとも、マーチーネは、ワインの価値など露知らず、生きたウミガメやウズラに

 

ショックを受け、その晩、地獄の業火で、ウミガメがあぶられている夢にうなされます。

 

天罰を恐れて、マーチーネは、村人達に相談。

 

 

 

 

 

村人達と話し合い、晩餐会では、食事を味わわず、食事の話も一切しないでおこうと

 

決めます(いやはやガーン

 

 

一方、晩餐会の為の準備の下ごしらえは、着々と進んで行きます。

 

出た生ごみ(さすがにかなりグロテスクかも・笑)

 

 

 

 

船で荷を運んで来たバベットの甥が手伝い、ウズラの羽をむしって行きます。

 

 

 

 

 

これも、ちょっと目を逸らしたいかも(笑)

 

 

こうして、生誕100年を祝う晩餐会の当日がやって来ました。

 

果たして、どんな晩餐会になるのでしょうか?

 

 

 


 

長くなりましたので、続きは、次エントリーにて。

 


 

 

 

お読みいただき、有難うございました。