先日実家のある札幌に帰った日の事
いや、むしろ札幌での束の間の時間を過ごし名古屋に帰るときの事だ

琴似から新千歳空港に向かう快速電車に乗車する為駅へ向かう徒歩5分の道のりの中で、

少し疲れたから空港までの電車は指定席にでものりたいなぁ、、
なんて考えていた。

駅に着く直前にボンビー直樹が現れ、「やい直樹!たかだか30分の為に300円も払うのかよ?どこの貴族だよwww ここはグッとこらえてガムでも買って大人しく自由席で行けよ!」
奴はこう言ったのだ。

確かに良い大人が30分位の事でギャーギャー言うのもな、、

結局ボンビー直樹に負け、ガムを買い
ジャストなタイミングで現れれた電車に滑り込む様に乗った。

階段を駆け上がったせいで少し息を切らせながら自由席の方に目をやると、
通路側の席がポッカリひとつだけ空いていた。

心の中でガッツポーズをきめ、席に近づくと窓側に座っていた小柄で綺麗な感じの女子が私をパッと見て、物凄い勢いで体全体を窓の方に寄せた。

小柄な人だったので元々隣のスペースは十分過ぎるくらい空いていた。

わしゃバイキンか?

と思いたくなる行動に少しだけ傷心して席に着く。

頭の中(落ち着け~、、落ち着くんだ直樹、、フゥ~フゥ~、、そうだ、買ってきたガムを食べよう)

手のひらの中に収まっているガムを食べようとするも、
反対の手にあるつり銭とレシートが無性に気になり、レシートをゴミ箱に捨てに席を立つ

車両の仕切りのドアを開け、少し強めに手の中にあるレシートを投げ入れた。
物凄い音がした。

(なにあの音?)と思いつつも、振り返り来た道を足早に戻り席に着く。

相変わらず私が座る時に全力で窓側に身を寄せる女子を横目にやっと落ち着く。
そして私の手はスッキリし、一枚のレシートとガムが。

ファッッ!!?!??!??!??

なぜここにレシートがっっっっ!???!???

そうだ。

賽銭箱にだって5円以上入れた事のない私が、たった今880円という大金を電車に備え付けてあるアルミ製のゴミ箱に豪快にダンクを決めてきたのだ。

体から一瞬で血の気が引いて行くのを感じた。

急いでまたゴミ箱の方に戻る。
ドアを開けるとそこには先程は大して気にならなかったが、おそらくずっとそこに立っていたであろう野球部風の男子高生二人組がホラー映画を見たかのような顔でこっちを見ていた。

颯爽と現れた中肉中背のおっさんが手に持っていた小銭を力一杯ゴミ箱に投げ入れて去って行くのを見たら、そりゃ誰だって恐怖を感じるであろう。

年甲斐もなく小銭を取り戻す為にゴミ箱を漁る事を考えたが、
(いやいや、30過ぎの良い大人が子供の見てる前でゴミ箱を漁るなんて、、ましてや私は一国を代表する人間、、全国のちびっ子達に合わせる顔が、、)

などというこの状況にしては謎な正義感に似た責任感が沸き起こり、、ゴミ箱から小銭を探すのを躊躇った。

結果、よせば良いのに2本指を眉毛の所に立て、「よっ♫」と言わんばかりの敬礼の様な挨拶を高校生達にブチかますという今世紀最大の奇行に走り、未来たっぷりの若人達にこの上ない恐怖感を植え付けて足早に席へと戻って行った。

隣の席の女子は「さっきからなにウロウロしてんだよ?」と言いたそうな顔でこっちを睨み付けておりました。

5分後、高校生の1人が小銭を手に「いちお全部だと思います、、」と半笑いで席まで来てくれた。

北海道の高校生テラ優しすwwww

恥ずかしさと虚しさで、今すぐ弾道ミサイルで大気圏の外側まで発射して欲しいと思いつつも、何度もありがとうと伝えた。

隣の女子が、会社の給湯室で連日行われる女子会での私のアダ名はバイキンマンにほぼ決まった事を確信し、泣きながら名古屋行きの飛行機に乗って帰りました。



湯淺直樹