来たる3月23日のバッハチェロ組曲全曲演奏会にちなんで、いろいろな私の思いを綴ります。
演奏会は3月23日オペラシティー(小)
17時30分開演
2曲ごとに2回休憩
終演予定時刻 20時30分
(第6番には原典に従い5弦チェロを使用)
その1 プレリュード。
いうまでもなく前奏曲という意味。そのほとんどは即興音楽風に書かれている。このことについては次の機会に書く。
本来はチェンバロやヴァイオリンなどで一人で演奏する曲の前に軽い指慣らしのような意味合いもあった。だから複数人数で演奏する楽曲にはプレリュードという言葉は使われない。
カンタータやオーケストラ曲の場合はOuverture(序曲)とか Sinfoniaとか言う言葉が使われている。Sinfonia(Symphonie)はのちのハイドンの交響曲とは音楽は意味合いが違うが言葉としては同じでラテン語のSymは共にという接頭語で、Phoniaはご存知Phone(音)が語源。
Ouvertureはフランス語で「開始」などの意味だが英語のOpeningと思うとわかりやすい。
バッハはプレリュードという言葉以外にも
Préambule プレアンビュルというフランス語も使っている。前置きとかいう意味で本の序文などに使うことが多い。
そのほかにもToccata(触れるという意味のイタリア語の動詞toccareの過去分詞形)などと言う言葉も使われている。この言葉は指慣らしという感じにぴったりだと思う。
バッハの時代は現代のコンサートの様に、あらたまりかしこまってから弾くというより、もっと気楽だったらしく、少し指慣らしとかしてから弾き始めるのは普通だった様だ。現代でも教会のオルガン奏者は即興演奏をする習慣があるが、人によってはかなり気楽に試し弾きをする人もいる。
さて言葉の続きだが、チェロ組曲に関しては全てeにアクサンがあるフランス語のPréludeで一貫しているが、チェンバロのためのパルティータや平均律曲集では、Praeludiumというラテン語でかかれている。
Preはラテン語の接頭語で「前」とかの意味。 Lude は 楽器のリュートの語源でもある音楽を奏でること。
ヴァイオリンのための3曲のパルティータ(組曲と内容的には同じ)の1番と2番にはプレリュードがないし6曲のフランス組曲にも無い。ヴァイオリンの第3番にはあの有名なプレリュードがあるがこちらはPreludioというイタリア語になっている。
さて、このプレリュードの有り、無しは一体どういうことなのか?一貫性がないではないか。
いろいろ考えてみた私の一つの推測は、バッハ自身が演奏する予定で書いた曲は、自分が即興演奏するので時間を省くために前奏曲を書かなかったのではないか。フランス組曲に前奏曲がないのはそういう理由ではないか?
適正率(平均律)クラヴィア曲集には全て前奏曲があるがこちらは本来バッハが自分で命名したように、Ubung(練習曲)なので様々なテクニックを使って書いている。
それでは2曲のヴァイオリンのパルティータはバッハが実際に弾いたのか?そうかもしれない。あの難し2つのパルティータを!バッハがヴァイオリンをよく弾いたことは知られているが、それにしてもすでに鍵盤楽器の名手だったバッハが、ヴァイオリンでも公開の場で弾いたのならすごい名手だと思う。それともバッハは後から書くつもりだったが、何らかの事情で書かなかったのか?
チェロを弾くのはさすがにそれほど得意ではなかったのか、チェロ組曲の場合は6曲とも書いてくれた。初演の奏者も確かではないがケーテンの宮廷の奏者だったらしいとされている。その名前もわかっているが今は調べる情報がないので今日はこの辺で。
続く