思いもつかなかった母の一言 | 終の棲家ができるまで

終の棲家ができるまで

50代半ばにして突然の家作り!
悩みながら、わくわくしながら、完成までを記録します。

母は、8月末から週一ペースでデイサービスに通い始めました。朝9時頃にお迎えが来て、夕方5時半頃帰宅します。


一年近く前から腰痛が悪化した母は、家では横になる時間が増えました。デイサービスの初日は、一日中イスに腰掛けているのが辛かったと愚痴をこぼされました。聞かされたこちらも心が痛みました。辛いのが続くようなら辞めてもいいんだよと伝えました。


それでも、2回、3回と回を重ねるごとに慣れてきたようです。85歳の老人に言うのもおかしいのですが、少しずつ体力がついてきたような気もします。他の利用者さんとのたわいない会話も程良い刺激になっていそうです。


あるとき母が言いました。

「今は介護保険があって、利用できるサービスがあって、いい世の中になったよね。おじいちゃんの介護をしている時代はまったくなかったから、家族がどうにかするしかなかったものね。」


母は寝たきりになっていた舅の介護を5年程していました。私は、母が「今の時代だったら、自分もあんなに苦労しなくて済んだのに。」という意味で言ったのだと思いました。でも、そうではなかったのです。


母は続けて、こう言ったのです。

「今の時代だったら、おじいちゃんにもっといろいろなことしてあげられたのにね。」と。


私には思いもつかない言葉に驚きました。母には敵わないなと思いました。


働き者だった祖父は、思うように身体が動かないことにイラつき、母にキツい言葉をなげることもありました。そんな祖父が息を引き取る間際、実の子供たちの誰でもなく、母の目を見て「ありがとう」と言ったそうです。それまで言葉にしたことはなかったけれど、祖父は心の中ではずっと母に感謝していたんだろうなと思います。