カタログを見て惚れ込んだあの子、実際会いに行ったら、ちょっと印象が違っていた。まったくときめかない。
試乗してみた。あっ、こりゃダメだと、はっきり感じた。すごく乗り心地が悪かった。
ディーラーに行く前日、せっせと口コミを読みあさった。走りに定評があったので、期待してたんだけどな。
まったく候補にもあがっていなかった別の子。自宅にすごく近いという理由だけでちらっと覗きに行ってみた。
一目見て何かを感じた。あれ?なんか好きかも。
運転席のドアを開けてみた。インパネのデザインに心を鷲掴みにされた。思わず「可愛い」とつぶやいてしまった。
帰宅後、口コミ検索したら「インパネが最悪」と書かれていた。どうやら私はセンスのない人間らしいと悟る。
でもそんなこと構わない。私は、この子が気に入っちゃったんだから。ただ、そのことを、この子の傍らで微笑むN氏に悟られてはいけない。
「なかなかいいとは思うけど、他にも迷ってる候補があるので。」と、ひと芝居うってみる。
カーディーラーでの商談は、恋愛のかけひきと似てる気がする。ちょっと楽しくて、ちょっとめんどくさい。
そして、びっくりするようなライバルが突然現れることもある。そのライバルを連れてきたのが、車を買い替えるのに大反対してた夫だったのだから、ダブルで驚きだ!
(つづく)