娘とお散歩中のこと。

スズメガ幼虫の魅力に取り憑かれた私たちは、どこを歩いていてもイモムシを探す目になっている。

とある公園の植栽の上に、見た事ないイモムシを発見。

ヘクソカズラの蔓にくっついたホシホウジャク幼虫

 

ピンと伸びた尻尾があるってことは、これはスズメガの仲間⁉️

そのイモムシがくっついているツル植物は、ヘクソカズラで間違いなさそう。「ヘクソカズラ・スズメガ」で検索すると「まさしくコレ!」といった画像にhitした。

どうやらこれはホシホウジャクの幼虫のようだ。

 

私たちは、当然の如くイモムシちゃんを連れて帰った。

 

 

ヘクソカズラは、割とどこにでも生えている雑草である。植物体を傷付けると「屁」や「糞」にも含まれる臭い物質「メチルメルカプタン」を放つため、「くさい」と感じるそうな。ところがどっこい、私はヘクソカズラをくさいと思ったことが無い。私の嗅細胞には、メチルメルカプタンの受容体が欠損しているのかもしれない。

 

 

 

 

 

どこにでも生えている雑草だと思いきや、私の居住地区近辺では圧倒的にヤブガラシの方が繁茂していて、ヘクソカズラは目的を持って探し回らねば見つからない。

やっと見つけてツルを持ち帰ると、葉の裏にホシホウジャクの卵が付いてたり幼虫が付いてたりするので、飼育対象が増える増える。

へクソカズラの葉に産み付けられたホシホウジャクの卵

↑ ホシホウジャク幼虫の餌用に持ち帰ったヘクソカズラに、しばしば卵が付いてくる。直径1mm程度。

 

 

娘の幼稚園の送迎路でもヘクソカズラを探しながら自転車を走らせるのだが、ヘクソカズラっぽい植物がワサワサと生い茂っている場所を発見。やったー、これでもう餌集めに困ることは無いぞ、と歓喜。

 

葉が生い茂ったツルを1本持ち帰ってイモムシ達に与えたところ、お腹を空かしているはずのイモムシたちが、全く葉っぱを食べてくれない。オカシイ。

 

まさかと思ってよ〜く調べてみると、これはヘクソカズラではなくガガイモのようだ。

「葉っぱがハート型で対生のツル植物」までは同じだが、ヘクソカズラは葉の表にも裏にも毛が生えるが(どうやら毛の密度には個体差があるらしい)、ガガイモはツルツルで無毛。ガガイモは植物体の断端から白いベタベタの乳液が分泌される。うむ、採ってきた植物はまさにガガイモだ。

 

ヘクソカズラとガガイモの違い

↑ 上段:ヘクソカズラ、下段:ガガイモ

 葉の付き方が同じだから間違えちゃったよ

 

 

ヘクソカズラとガガイモの違い

↑ 上段:ヘクソカズラ、下段:ガガイモ

 こうして並べて見ると葉脈の感じも全然違うのが分かる

 

ヘクソカズラとガガイモの違い

↑ 上段:ヘクソカズラ、下段:ガガイモ

 

 

だまされた〜

ヘクソカズラに似た植物があったなんて。

あの植物群落は全部ガガイモか。

 

ヘクソカズラを探して彷徨う日々はまだ続く。

 

 

 

毎日毎日暑いので、ある日外出前にせめてちょっとでも冷気の残るお部屋に置いておこうと思い、ホシホウジャクの幼虫たちが入った虫かごを寝室に置いて出た。

 

夕方娘と一緒に帰ると、娘はいの一番にホシホウジャク幼虫たちにただいまの挨拶をしに寝室へ行った。娘に遅れて寝室へ行ってみると、娘が「くさーい!」と言って鼻をつまんで悶絶してのたうち回っている。「これ何のにおい〜?」

 

私には全くそのクサい匂いが分からない。

何だろう、何だろう… 

はッ‼️わかった、私には分からないヘクソカズラの悪臭、「メチルメルカプタン」だ!

娘のお陰で、ヘクソカズラが本当にクサいのだということを知った。

 

 

 

餌集めの苦労の甲斐あって、幼虫たちはモリモリ食べてどんどん太く大きくなっていく。

ホシホウジャク終齢幼虫

↑ ホシホウジャク1号 終齢

 

ホシホウジャク終齢幼虫
↑ホシホウジャク1号 終齢

 生後3ヶ月の人間の赤ちゃんのようにムッチムチの体。

 

 

こちらは褐色タイプの幼虫、ホシホウジャク4号。写真ではそう見えないけど実物の背面はピンクに見える。

褐色型のホシホウジャク幼虫

 

ホシホウジャクの幼虫を唇に乗せる5歳の娘

 

↑ 唇でイモムシの感触を楽しむ5歳娘。

 

 

やがて、最初に連れ帰ったホシホウジャク1号が地面に降り、落ち葉の下に潜り込んで前蛹になった。個体差だと思われるが、この子はおそらく面倒くさがり屋で葉を糸で綴ったりはしていないので、落ち葉をめくれば簡単に前蛹にアクセス出来てしまう。なので、写真撮りまくり。

ホシホウジャク前蛹

↑前蛹。縮んでCの字にカーブして、緑色から褐色に変わっていた。
 

 

翌日に蛹化。

蛹化直後のホシホウジャク蛹

↑ 蛹化直後は頭側が緑色。
 

ホシホウジャクの蛹の口

↑ 口吻に該当する部位は、すんげー出っ張っている。

 

 

やがて蛹は褐色に。

ホシホウジャク蛹

 

 

待つこと2週間…

蛹が黒ずんできた。

羽化間近のホシホウジャク蛹

↑ 真っ黒。

 

この色彩変化は羽化間近なのか、死んでしまったのか。

辛抱強く待つことまる1日。

 

あくる朝、ホシホウジャク1号は羽化していた!

羽もしっかり伸びて完全体です❣️

ホシホウジャク羽化成虫

 

 

 

娘も大喜び。

昼行性の蛾なので、明るくてもブンブン飛び回って手に乗せるなんて芸当は無理であった。

 

小雨が降っていたので、雨が止んでから放そうねと言って娘を幼稚園に送り届け、帰宅。

帰宅時は雨が上がっていたが、天気予報を見ると昼から本降りの雨の予報になっている。

仕方なく、娘が不在の間にホシホウジャク1号を外に放すと、勢いよく飛んでった。

 

そして雨の中娘を幼稚園に迎えに行き帰宅。

当然聞かれる。「蛾ちゃんは…?」

ドキっとした次の瞬間。「外に…出したの?」

振り返ったその目には涙がいっぱい驚き

目の周りと鼻を真っ赤にしてシクシクと泣き出した娘。ペットとの一生のお別れの如く、シクシク泣く娘。(絶対戻って来ないから、確かに一生のお別れだね💦)

 

「ごごごごめんね、雨が降る前に放した方が良いと思って、、、汗 汗 汗

飛び回っちゃってエサのジュースなんて全然飲んでくれる感じじゃなかったから、放した方が良いと思ったんだよ、ね、弱っちゃうし💦あと3匹出てくるから、次の子たちは娘ちゃんが放してね?」

なんとかなだめて機嫌を直してもらった。

あ〜 焦った焦った驚き

 

イモムシ好きすぎだろ、、、この子魂が抜ける

 

 

 

 

都市公園のゆる〜いネイチャーガイド
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