昨秋に娘が拾ってきたクヌギのどんぐりから出てきた白いイモムシ(通称どんぐり虫)を、今年こそはということで飼育し観察記録を取ってみた。

どんぐり虫について書いている児童書によれば、飼育はそんなに難しくないという。

バケツに土を入れてどんぐりをポイポイっと置いておけばどんぐり虫が出てきて土にもぐるので、そのバケツを玄関の外や物置きの中など冬の間暖かすぎず、温度変化がなるべく小さな場所に静か~に置いておけば、翌年の夏頃に成虫になって出てくるんだとか。

 

そんならやってみよう!ということで過去2回トライしているわけだが、どんぐり虫の生態調査不足と近年の東京の酷暑により失敗してきた私。

失敗レポートはこちら↓↓↓

 

 

 

過去2回の失敗を活かして三度目の正直!

クヌギのどんぐりから出てきた12匹のイモムシのうち、1匹がさっそく羽化したのでこちらでご報告をば。

 

 

昨秋にクヌギのどんぐりから出てきたイモムシたちは、すぐさまアリ飼育キット(薄型の透明アクリルケース)に入れて観察開始。

どんぐり虫(クヌギシギゾウムシ幼虫)を入れたアリ飼育キットの画像

どんぐり虫は冬の間、土の中であちこち移動しているのがアクリル越しに観察された。

そして最終的に3匹が、アクリル越しに見える場所に落ち着いた。このままいけば蛹が見られるかな。

 

アリ飼育キットの中で動き回るどんぐり虫(クヌギシギゾウムシ幼虫)たちの画像

 

 

我が家の玄関は極狭小なので玄関の下駄箱の上のちょっとした空きスペースに飼育ケースを置いて、時々土の表面が乾燥しないよう霧吹きをした。

アクリル越しに幼虫が居るのは見えるんだけど、アクリル板の内壁が土で汚れてしまっていて全体像がクリアに見えない。

あまり変化が無いので1~2週間に1回確認する程度になっていた本年5月某日の朝、何気なくどんぐり虫飼育ケースを見ると何やら幼虫がクネクネと激しく動いている。なにごと!?と思ってじっくり観察してみると、どうやら蛹化したようで羽の形が見える。

アリ飼育キットの中で蛹化したどんぐり虫(クヌギシギゾウムシ)

 

 

蛹の殻が固くなるまで触らない方がよいだろうとは思ったものの、我慢できず掘り出して観察。

小っちゃい宇宙人みたいで きゃーわいーい目がハート

クヌギシギゾウムシの蛹を3方向から見た画像

 

 

元の土の中に戻すと観察困難なので、最高級ローションティッシュをたたんで巻いて三角コーン状にし、そこにどんぐり虫の蛹を収めた。

おくるみに包まれた新生児期のわが娘を想起させる姿。尊い…ニコニコ 

おくるみに包まれたわが娘とクヌギシギゾウムシの画像

 

これでいつでも観察できます。

 

可愛くて写真を撮りまくっていた間、蛹はクネクネクネクネずっと動いていた。こんなに動いてしまって大丈夫なんだろうか。体力消耗しすぎたら羽化に失敗するかも…。

それでもやはり観察記録を付ける目的と可愛くて愛でたい気持ちから、毎日観察して脅かしてしまうのだが、蛹は観察中は常にクネクネ動き続けていた。

蛹は少しずつ茶色に色づいていった。

茶色く色づいてきたクヌギシギゾウムシの蛹の画像

 

茶色く色づいてきたクヌギシギゾウムシの横から見た画像

 

 

そして蛹化から8日目の朝。あれ?なんだか様子が変だぞ。

足をバタバタ動かしているクヌギシギゾウムシの蛹の画像

 

足が動いているぞ。もしかして羽化したのでは?でも頭にはまだ殻を被っているように見える。

蛹の殻をまるごと脱いで羽化するものと思っていたのだが、トカゲやカナヘビの脱皮のように部分的に剥がれている。

これが異常なのか正常なのか分からない。

とりあえず、ティッシュのおくるみに置くのは辞めて元の土の蛹室の中に戻して様子を見ることとした。

 

蛹室に戻して3日後。まだ頭に蛹の頃の殻を被っているようだ。背中の鞘羽は伸びきっていない。

羽化不全で頭に蛹の殻が残っているクヌギシギゾウムシ成虫の画像

これでは前が見えない!

 

これはどうやら羽化不全のようだ。さんざん蛹の時に動かしてしまったからな。

これはこの子が息絶えるまで責任を持って飼育することにするので、とことん介入することにしよう。

頭に被った皮を剥いてやると、大人しく剥かれていた。毛繕いをされているペットのようで可愛い。

羽化不全で鞘羽が伸びきっていないクヌギシギゾウムシ成虫の画像

 

羽化不全で鞘羽が伸びきっていないクヌギシギゾウムシ成虫の上から見た画像

 

羽化不全で鞘羽が伸びきっていないクヌギシギゾウムシ成虫の正面顔

 

この子を“SHIGIZO”と名付けて可愛がることにした。

 

で、クヌギのどんぐりから出てきたシギゾウムシだけど本当にクヌギシギゾウムシなのだろうか?

種の同定にトライしてみる。

 

①後腿節の先端は腹端を超えない

②触角第2中間節は第1中間節より長い

③上翅条溝の各点刻のもつ鱗片は、間室のそれよりはるかに大きく長卵形

④体長 9~10mm

 

以上の4点から、クヌギシギゾウムシであると判断した。

参考文献:森本桂,日本産シギゾウムシ類の概説,昆虫と自然,46(5),2011,p4-15

 

 

ところで成虫の飼育を開始して困ってしまったのだが、クヌギシギゾウムシの成虫が何を食べるか分からない。

どんぐりの中身を食べてから出てきた老熟幼虫は、その後成虫になるまで何も食べないのでエサをあげる必要が無い。

だから飼育が楽チンなわけだが、羽化不全の成虫を飼わなければならないという想定外の事態が発生した今、非常に困っている。

ネット情報ではクヌギの葉っぱを食べると書いてある。

 

話題のchatGPTに聞いてみると

「クヌギシギゾウムシの成虫は木の葉を食べます。彼らは主にクヌギ、カシ、トチノキ、シラカシといった葉を食べることが知られています。しかし、成虫が木から垂れ下がるときにいわゆるハチやガのような小さな昆虫も食べることがあります」

との答え。

クヌギシギゾウムシ成虫が食べるものについてchatGPTに質問した画像

 

sourceが不明で信用できない。『成虫が木から垂れ下がるとき』って何?

クヌギシギゾウムシの成虫ってけっこう動きが鈍いように見えるけど、ハチやガなんて俊敏な昆虫を捕えることが出来るのだろうか?ハチやガの幼虫のことだろうか。

 

信用できないので、クヌギの葉っぱと一緒に昆虫ゼリーを置いてみる。

このストローのような口で本当に葉っぱを食べるのだろうか。

 

クヌギの葉と昆虫ゼリーを置いたクヌギシギゾウムシ成虫の飼育ケースの画像

 

 

家族が寝静まった真夜中、飼育ケースを覗いてみると…

クヌギの葉と昆虫ゼリーを置いたクヌギシギゾウムシ成虫の飼育ケースを夜中にのぞいてみた写真

 

昆虫ゼリーを食べる君義シギゾウムシ成虫の画像

 

昆虫ゼリー 食べてーる!!

 

昆虫ゼリー様々ありがとう笑い泣き

クヌギシギゾウムシ成虫は昆虫ゼリーで飼育出来そうです。

果たしてどれくらい生き永らえてくれるのかしら。

長生きしてねSHIGIZOちゃんラブラブ



「天国へ旅だったSHIGIZO」へ続く

↓↓↓『天国へ旅立ったSHIGIZO』昨秋娘が拾ってきたクヌギのどんぐりから出てきたどんぐり虫が今夏羽化し、羽化不全で羽がグニャグニャで飛べないために飼育していたクヌギシギゾウムシのSHIGIZO…リンクameblo.jp