※今回の記事中には、昆虫が苦手な人にとっては見たくない写真が含まれていると思われますのでご注意ください。

 

 

我が家のベランダのサンショウとスダチの鉢植えには、毎年春から秋の間に何度もナミアゲハやクロアゲハが産卵に訪れる。
卵があっても気が付かないことがほとんどで、ある日突然サンショウとスダチの枝の上の緑色の終齢幼虫に出会って「居たんだ!?」とビックリする。若齢幼虫のうちは葉を食べる量がわずかでウンチも小さいのでよほど気にかけて探さないとその存在に気が付かないが、終齢幼虫になると葉っぱをモリモリ食べ始め、ウンチが大きくなり量も増えるので、ある日突然大量のウンチがベランダに落ちていることに気づき幼虫の存在を知ることになるのだ。
蝶々好きの私はこれらの蝶の羽化・巣立ちを毎回楽しみにしているのだが、彼らは蛹化する時に安全な場所を求めて食草から遠く離れた場所へ移動してしまう。葉っぱを食べるだけ食べて、挨拶もせずにある日忽然と居なくなる。
ある時は、洗濯物を干そうとベランダに出たら、蛹化場所を探して一目散に走り去る終齢幼虫くんの背中を見かけた。サヨナラも言わないで…(泣)

それでも時々食草の樹上で蛹化する子も居るので、そういう蛹を見つけるとウキウキしながら羽化の時を待つのである。

今年の夏もナミアゲハがスダチの鉢植えの枝で蛹になってくれたので、待っていた。夏場は早ければ10日から2週間くらいで羽化する
ので、まだかまだかと待っていた。ある晴れた日の昼下がり、蛹を見にベランダへ出た私は、とんでもない光景を目にする…



なんとナミアゲハの蛹から、3mmほどの小さな小さな黒いハチが次から次へと出て来ている!!

ギャングのような顔をした小さな虫がコンニチハ

 

 

おぬし、何奴!?
急いで調べると、それはどうやら「アオムシコバチ(Ptrroomalus puparum)」という、アゲハチョウの蛹に寄生する蜂らしかった。蝶好きの間ではあるあるの話で、恐れられている寄生蜂のようだ。

 


どうも見ていると、ナミアゲハの蛹から出て来たオスバチは続いて出て来るメスの背に乗り占有して、脱出後すぐに交尾行動を取っているらしかった。最初は同胞の脱出を手伝って引っ張っているのだと思い「昆虫なのに助け合いの精神があるなんて凄い」と感銘を受けていたのだが、どうやら違う。なんと節操ない…。


同胞を引っ張り出しているように見えるけど多分ちがう

 

大きい青藍色のがメスで、小さい明るい緑色のがオスらしい

 


アオムシコバチは何十分かかけて出続け、総数100匹くらいは行っていた。動画を撮影しといたけれど、あまりに絵面がおぞましいので載せません。。。

 

もう1つのナミアゲハの蛹も変色していたので、アオムシコバチに寄生されていると判断しプラカップに入れて隔離しておいたところ、数日後に出てきました。カップ内で死に絶えたアオムシコバチの数たるや、ちゃんと数えてはいないけどやはり100匹以上は居そうだった。
アオムシコバチ達は何も悪くはないのだけど、我が家のアゲハチョウたちに次々と寄生されるのは私が耐え難いので、申し訳ないのですが殺処分としました。ゴメンよ。。。

こうして我が家のアオムシコバチ事件は再発することなく今シーズンを終えました。


世の中にはいろいろな生き物が居るんですねぇ。

東京の都会でも多様な生き物が居て、人間の知らないところで生き物同士の相互関係があって、彼らの営みを垣間見るのは興味深く面白い体験です。