この間の日曜日に訪れたのは、京橋のブリヂストン美術館
企画展は「没後100年 青木繁展ーよみがえる神話と芸術」
開館直後に訪れましたが、結構空いていました
コレクション展も2部屋くらいの規模で開催されていました
こちらのコレクション、とても素敵なものが多いので、それも
楽しみにしていたのですが、期待を裏切りませんでした
マネの「自画像」にピカソ「腕を組んですわるサルタンバンク」、
セザンヌ 「サント=ヴィクトワール山とシャトー・ノワール」・・・
他にもモネやシスレーなど盛りだくさん
いいなと思ったのが、これら印象派を中心とした柔らかな
コレクションを鑑賞後に、ちょっとヘビーな青木氏の作品の
展示部屋へ・・・という流れであること
はじめから息切れしなくて済むので助かります
全体的には海や古事記、聖書をモチーフとした、精彩で
力強い作品が多いのですが、旅の道中のスケッチや
マンガ調のイラスト、エスキース、晩年(早世なので、それでも
28歳頃です)の、「誰にでも分かるような下手な絵を描きたい」と
いう意思からの力強さが抜けて穏やかな印象の絵画、
更には書簡なども並び、大変バラエティに富んでいました
特に点描で描いた、海に関する数々の作品は、
よどんだ色の空に、荒々しくも瑞々しい海が印象的
対して晩年の絶筆「朝日」は、それこそ神話を思わせるような
穏やかに波打つ海が印象的でした
(上から「朝日」、「夕焼けの海」)
「海の幸」
とても大きな作品で、すばらしい迫力でした
大きなキャンバスに荒々しく描かれた、たくましい猟師達
未完の作品ということで、所々に見える下書きの線や
荒削りな感じが、生き生きとした様子を感じさせます
肉体はそんな感じで生き生きと描かれているのに、
光の射す方へ向けてさめを担いでゆくその姿は
どことなく幻想的
ちょっとヘビーな作品ですが、感じられるものが多く、
長いこと見入ってしまう作品です
「わたつみのいろこの宮」
兄から借りた釣針を落としてしまい、それを探しに
きた山幸彦のストーリーをもとに描かれたものです
とても幻想的でみずみずしく、美しい作品
まるで水の揺らめく音が聞こえてきそう
「海の幸」とは対照的に、隅々まで完成された感が
(写真上は「海の幸」、下の段は左から「輪転」、「温泉」、
「海神のいろこの宮」)
当時は評価を得られなかったとのことですが、夏目漱石の
お気に入りだったようで、「それから」などにもこちらの作品が
ちょこっと登場しているようです
なんだか今回は全体のご紹介ができず、特定の作品に
絞ったご紹介になってしまいましたが・・・
9月初旬まで開催されていますので、東京駅近辺での
避暑にもおすすめです