土曜日の美術館めぐり、といっても2館だけですが,
松岡美術館(★
)のあとは、歩いて15分ほどの
場所にある、こちら
東京都庭園美術館「森と芸術」
アール・ヌーヴォー調の絵本挿絵から、シュルレアリスム
作品まで、森にかかわる多くの作品を通して、私たちの
うちにひそむ「森の記憶」をさぐり、芸術・文化から自然界
へと視野をひろげていく・・・
自然教育園に隣接し、西洋庭園と日本庭園をもつ
緑豊かなこちらの美術館にぴったりなテーマです
構成は6章立て
●森とは何か―楽園としての森●
憧れの気持ちを感じさせる、豊かな森を描いた作品が
展示されています
ポーラ美術館(★
)で惹きつけられたアンリ・ルソー
「楽園」に再会することができました
何度みても神秘的で、森の中に吸い込まれそう
同じく素朴派のボーシャンやゴーギャンの作品も
ボーシャンの作品は、もと庭師らしく、その色の鮮やかさと
細部の表現から、植物への強い愛情が感じられます
●神話と伝説の森●
神々や妖精の出没する物語の舞台として版画作品が
多く飾られていました
あまり馴染みのないストーリーをモチーフにしたものでも
きちんと解説がついているので、しっかり楽しめます
●風景画のなかの森●
本格的に風景画が描かれ始めた17世紀のクロード・ロラン
から、ゲインズボロ、写実的なクールベ、バルビゾン派の
コロー、と、時代とともに森をモチーフとする流れの変遷の
ようなものが感じられる、個人的には今回一番お気に入りの
展示でした
柔らかい表情の作品が多いので、ゆったりとした森で
のんびりお昼寝したくなるような気分になります
●アール・ヌーヴォーと象徴の森●
19世紀後半におこった、植物界を風景ではなく、象徴的な
図像として描くサンボリスムの影響が色濃い作品が並びます
ゴーギャンの「愛の森」は印象派っぽい柔らかで清新なイメージ
彼の作品でこういった作風のものは初めて拝見しました
この邸宅の内装を手がけたエミール・ガレの、美しい自然
モティーフのガラス工芸も多く展示されており、その色と形の
美しさにため息がでます
●森のさまざまなイメージ―庭園と「聖なる森」、メルヘン絵本の森●
ひとつの芸術作品のように仕上げられた庭園?「聖なる森
(怪物公園)」の写真や、木製の温かみある玩具、森の博物誌
など、いわゆる現代美術に通じるモダンな作品から、森を
舞台にしたメルヘン絵本など、多くの作品が
絵本はもう、挿絵ではなく本当に芸術作品といった感じで
アール・ヌーヴォー調の細やかな森の表現の素敵さに
改めて気づかされました
●シュルレアリスムの森●
マグリットから岡本太郎まで、とても個性的な森の描写を
楽しむことができます
●東京の森-白金の森●
この美術館のあたり-白金の森-の変遷を写真で追うことが
できます
土曜日の14時ころ、というのと、小作品が多いので、
部分的には混雑していたものの、割とのんびりと作品を
鑑賞することができました
作品だけでなく、建物そのもののあらゆる部分がとても
凝った造りなので、そんなところも鑑賞していたら、
あっという間に3時間近くが経過
作品鑑賞後は初夏の恵みに出会いに、庭園へ
気持ちよく晴れたこの日、お昼寝している方や
スケッチをされている方も多く、和みます
マキシワンピに日傘を差して歩いていたら、同じく
お散歩中のご夫婦からの「モネの描いた『日傘の
女性』のようですね」なんてお言葉に、ちょっとご機嫌
服装だけというのはわかっていても、やっぱ嬉しいです
モダンな美術館もよいけれど、年季が入り、丁寧に
お手入れされた邸宅系の美術館は、華やかだけれど、