8月6日、私の家族が見た戦争
1945年、68年前の8月6日。
広島に原子爆弾が投下されました。
私の祖父母の実家は広島の呉市にあり、原爆が落ちた時、祖母や母は東京から呉の実家に疎開していました。
原爆で、広島市内に住む沢山の親戚が被爆しました。
呉は市内から少し離れているので、きっと祖母たちは放射能による原爆の被害を受けた事を知らずにいたでしょう。
しかし、今、福島原発の事故を経て振り返ると、祖母や母が癌で亡くなったのは無関係ではないと思えて来ます。
母は亡くなる前7年かけて、「これだけはどうしても遺したい」と、「大切な人」を書き上げました。
母の子供の頃の物語です。
私はずっとこの本を家族の物語と思っていましたが、311以降読み返し、
原爆の放射能で苦しむ人々が、福島原発の事故で苦しむ人々と重なり、これは母が私たちに遺したかったメッセージだと思えてきました。
2011年8月、母の遺した「大切な人」を元に、原爆投下の日に合わせて、
朗読劇「大切な人~私の家族が見た戦争~」を上演しました。
歌で綴る朗読劇「大切な人」は多くの方から再演の声を頂き、
同年12月、母の大切な弟子である若村麻由美さんに出演頂き、開戦の日にあわせて再演しました。
そして、年末の28日、私が俳優としても日頃の活動を通しても尊敬する、最もこの作品を読んで頂きたかった山本太郎さんに出演頂き、再演をしました。
再演を繰り返すたび、戦争の事、原爆の事は私たちは決して忘れてはならないことで、語りついでいかなくてならないものだと言う思いが強くなって行きました。
原発事故、憲法改正案…。
日本は平和な国だと信じ生きて来ましたが、68年前を思い返させるような出来事が起こり初めている今、1人でも多くの方にこの作品を見て頂きたいと思っています。
そんな思いで、再演を繰り返して来ましたが、
7月から、この作品をインターネット配信していただけることになりました。
劇場まで来られなかった方も、今、この作品を知り、見たいと思ってくださった方も、アーカイブからいつでもご覧頂けます。
広島の原爆の日、長崎の原爆の日、そして、終戦記念日…。
忘れてはならない日の沢山ある8月と言う月にぜひ、「大切な人」をご覧になってください。
そして、本当に大切なものは何か、あなたの心で感じてください…。
「大切な人」2011.12.28上演
出演、山本太郎、仲代奈緒 他