311から2年…今思う「生きるために生きること」 | 仲代奈緒オフィシャルブログ「ココロの部屋」Powered by Ameba

311から2年…今思う「生きるために生きること」




今日で311から二年です。


すごく長かったような、すごく短かかったような…、
とにかく、今までにない月日でした。


でも、今までの人生の中で1番頑張って生きた、1番色々な事について考えた、1番出会いのあった二年間であった事は間違いありません。


「生きるために生きる」という事に気づけたからです。



豊かな国に日本に生まれ、安全な日本で、今まで命の危険も感じず過ごしてきました。

きっとそんな国は日本くらいでしょう。

でも、本当は少しも安全じゃなかった。


日本中には地球をいくつ分も滅ぼせる、54基もの原発があり、美しい海を大地を、人を傷つけていました。



私は祖父母が広島の人なので、子供の頃から放射能の恐ろしさは知っていたのに、原発の事は何も知らなかった。

知られたくない日本の教育をそのまま受け、そんな事が起こってる事も知らなかった…。

原発事故は本当に衝撃的な事故であり、また、日本という国を知る機会でもありました。


今まで安全で、国民の事を思ってくれている良い国と思っていた「日本」は私の思い過ごしで、そんな国は存在していなかった。

本当にショックだった。

日本国は私達国民の命なんか大切に思っていない。

自分の命は自分で守らなくちゃ。



それと同時に感じた、地球への思い。


私達人間は自分たちが1番偉いと思い、好き勝手し放題ですが、人間も地球上の一つの生き物にしか過ぎないのです。

地球に生かされ、自然に生かされ、他の沢山の生き物によって生かされている。

なのに、人間はそれを傷つけ、壊す事ばかりしている。

地球に対して申し訳ない気持ちになりました。


今、1人でも多くの人がこの思いを思い出さなければ、地球はなくなってしまう…。


そんな気持ちの中出会えた沢山の同じ思いの方々。

地球を愛し、日本を憂い、何かをしなくては、と動いている彼らは希望の星達で、「彼らがいる限り日本はいつの日か良い国になれる」と思えました。


それでもこの二年間。

その努力も虚しく、日本は変わるどころか悪い方へ進み出している…。

政府のやる事には私達のやっている事は無力で、歯が立たない…。


報道もまた国民に本当の情報は届けてくれず、pm2.5や黄砂は危ない、外に出るな、洗濯物を干すなと報道するのに、放射能が危ないと言った報道は一度もなかった。

大量に東京に放射能が来た3月15日も、21日もそんなニュースは全くなく、沢山の人が知らずに被曝しました。

でも、「直ちに影響はありません」だから、誰も気づかないのです。






そして、たくさんの人が言います。
「しょうがないよ」

国がこんなでも、放射能で病気になってもしょうがないよ。

私はいつも思います。

「本当にそう思ってますか?」

それは目に見えないから恐怖心もボヤけてしまっているだけ


もし今、目の前にナイフを突きつけられたらほとんどの人が、逃げるなり、抵抗するなり、何かしらのアクションを起こすはずです。

生きたいと思う、それが生き物です。


「しょうがないよ、殺して下さい」っていう人は少ないでしょう。


「しょうがないよ」と言っている1人1人がほんの少しでいい、何かを起こせば、絶対に変わるのに…。


私達が無力で、歯が立ないんじゃない。

皆が他人事で、無関心をよそおい、何もしないから何も変わらないのです。


「私はいつも思ってる、でも私1人が何かしても変わらないから。」
そういう人もいますが、思っているだけじゃ何も変わらない。

思っているだけじゃ、動かなければ、原発に「賛成」している事と同じなのです。

1人1人の力は決して小さくなんかありません。

1人1人の思いが繋がり、何かのアクションになった時、それは、大きな大きな力になり、必ず何かが変わると私は信じています。



311から二年。

時と共に人は忘れて行き、なかった事になっていく。

報道も美談にした特番ばかり作り、原発事故の事はなかったかのよう。
でも、原発事故はまだ収束しておらず、現在進行形です。

沢山の命が失われ、沢山の人が家をなくし、本当に、本当に辛い出来事だった311。

でも、真実を隠し続け、そんな事ばかりを報道する事が、良い未来に繋がるのでしょうか。




311から二年。


私が願う事…

1人1人の人に心から関心を持ってもらいたい。


決して他人事じゃない。

いつか自分の上に降り注いでくる未来です。


無関心じゃなく、興味を持って真剣に考えて欲しい。

日本の事、いえ、自分の、そして大切な人の命の事…。





今、父が無名塾公演、秘演「授業」を無名塾の稽古場で上演しています。


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フランスの劇作家、イヨネスコの書いた不条理劇。


父が若い頃、寺山修司さんや、つかこうへいさんなど、不条理劇はブームで沢山の不条理劇が上演されていました。

でも、今、不条理劇はそれほど流行らなくなってしまいました。

父は新劇育ち。

不条理劇とは真逆の環境で芝居をして来ましたが、この「授業」は父がずっとずっとずっとやりたかった作品です。



先日、この公演を観ました。

とにかく難解で何もわからなかった(笑)

それが不条理劇。

理解など存在しない。



でも、とても良くわかる。

まさに、これは今です。


世の中は本当に不条理。

不条理劇より、不条理。


この芝居の最後に受けた衝撃が、今の日本と重なり、本当にショッキングでした。






311後、縁ありフィリピンに行った私。


今まで全く興味もなく、イメージもさほど良くなかっフィリピン(これも、日本のマスコミ報道で描いていたイメージでしたが)。



でも、本当に素晴らしいとこだった。


自然が、人の心が美し過ぎた…。


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日本では失われてしまった大切な物が沢山ありました。



もしかしたらこれはここに行かなければ分からない感情かもしれませんが、日本でモヤモヤしていた全ての事の答がここにある気がしました。



「生きるために、生きる」



人として当たり前で、でも、私達日本人が忘れかけているこの思いを、

今、沢山の人に思い出して欲しいです。


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