数日前、里山からの月の出の写真を、実家の母に送ったら、

「お月様は、山の峰をゆるゆるとトレッキングなさいました。
そして、、、」

が出だしの、お話ができそう。って返信が来た。

 

 

お月様のお話かぁ。

で、考えてみた。

 

 

「お月様のお話」

 

お月様は、山の峰をゆるゆるとトレッキングなさいました。
そして、山の中腹で一番星が木の枝に引っ掛かってしまっているのを、外してあげました。
一番星の光は、時々、枝に絡まってしまうことがあるのです。
一番星、夕方までには、お空に上がって行くことでしょう。

山の木々の根元には、虫たちが落ち葉を被って、春まで、じっとしています。
お月様は、落ち葉の下を覗き込むと、
もうすぐ春だ。
と、そっと声をかけました。

頂には、お月様にご挨拶をするために、一頭の鹿が待っています。
夏ならば、熊もいますが、今はまだ冬眠から覚めていないのでいません。
鹿は、お月様に、角に引っ掛かけて来た森の湿り気を差し上げました。
お月様が、お空のてっぺんに昇ると、その湿り気は、お月様のマフラーになります。

お月様は、頂から離れて、北へ帰る鳥たちと、しばらく一緒に、お空に昇って行きました。

お空のてっぺん。
お月様は、ご自分のランタンを灯して、今夜も山々を照らし出します。