子供の頃、クレヨンを買ってもらって絵を描くことを覚え出した頃。
台所に置いてあったリンゴの絵を描いた。
赤いリンゴで、お日様に当たっていて、リンゴの丸い縁が光を反射して白く光っていた。
その見た目そのまんまを、紙に描いて父に得意になって見せたら、
違うよ。
と言われてしまった。
父に、日の差し込んでいる窓辺に連れて行かれて、
絨毯(灰色のベースに紺色の唐草模様だったと記憶している)を見てごらん。
と言われた。
父:この模様(唐草模様)は何色?
私:青!
父:日が当たっていても、青は青だよね?
私:うん。
父:白くはないんだよ。日が当たっても、色は白くならない。
私:?
父:リンゴも、日が当たったからって、赤が白になる訳じゃない。
私:?
私の内心:だって、白く光っていたんだもん。だから白く描いたんだもん。
その後、色のグラデーションのことを、父から教えてもらったと思う。
さらに、その後、図画の授業で、立体的に光線が当たっている物体を描く色の使い方を覚え、やっと、父の言っていたことが腑に落ちた。
さらにさらに、後々、美術展に行って、テーブルの上の銀のお皿の縁に光が当たっている様を、白の絵の具で描いている静物画を観た時、
私の内心:やっぱ、白く描いても良かったんじゃない?
父は、このやり取りを覚えているかなぁ。