8時15分、太田川上流、川のサイレンが1分間鳴り響く。

川のサイレンは、通常、ダム放流の時、川が増水することを警告する時や、雨などで危険水位になるような時に鳴る。

今日の1分間は、黙祷のため。

78年前の原爆投下による惨事を悼むため。

 

朝から(朝早い内に作業を始め、日が高くなると屋根の下に引っ込むのが夏の農作業)、草刈機の音やら、農作業の声・音がしていたのだけど、サイレンが鳴り響くと、作業の音は止んだ。

サイレンが終わっても、しばらくは、何の音も立たない。

蝉の声だけがしている。

 

あの日、その瞬間後、蝉の声なんか一切なかったろう。

呻きや、悲鳴や、破壊音、火炎、そうした音だけが続く。

 

蝉の声がする。

それは、今ここが平和だから。