「バウドリーノ」 ウンベルト・エーコ著 読了。
お話しは大雑把に言うなら、冒険奇譚。
(私の個人的感想の範囲での)その内容は、
シンドバットの冒険 + ダ・ヴィンチコード + コンスタンティノープルの陥落 + 天国と地獄 +アーサー王伝説 + インディージョーンズ +七人の侍 + 十字軍物語 + マルコポーロの冒険。。。
うわぁ~ぁぁぁ
頭の中の書棚が崩れて頁が散乱し雪崩て来たぁ。
読んでいる間は、面白くて夢中でお話の筋を追っているだけだったのだけど、読み終わってみると、
幾重もの物語の渦巻きに巻き込まれて出られない。
って感覚から抜け出せなくなってしまっている。
暫くは、この物語の頁の渦巻きの中で、アップアップしながら、流れて来る頁を拾い読みして、楽しく過ごすことになりそうだ。
この物語の中で、筋の面白さとは別に、とても共感したのは主人公バウドリーノの父親の価値観。
聖杯グラダーレを、宝石に飾られた美しい杯、と想像する主人公に、父親が、
イエス様は、そんな飾り立てられた杯など使ったりはしなかったはずだ。
大工を父上に持つイエス様なら、父上の作られた木の質素な杯を大切に使われたはずだ。
と言うくだり。
キラキラした宝石、王国、聖なる遺物・偉人、美しい人々。
それを目指しての冒険譚。
そんな物探してどうする?手に入れてどうする?って、あっさり言ってのける価値観。
良いなぁ。と思った。
でも、この価値観に従うと、こう言う面白い冒険譚は生まれないだろうな。