4月が終わった。
とにもかくにも、畠での初の体験の連続の1か月が過ぎた。

こんなに必死になってノートに書き込み、調べたのは、もしかすると、学生時代や新入社員時代でもしていなかったかもしれない。

そして、今までと決定的に違うのは、直接自分の五感で確認しながらの実作業がそれにともなっているということ。

(この感覚に一番近いのは「料理」かもしれない。
材料を用意し、自分の手で加工し、調理し、結果を味わう。)

種1粒、苗1鉢に「総合力」を注ぎ込んで、出荷できる「農産物」に育成する。

「総合力」って書いちゃうと簡単なのだけど、

気象・化学・動物・植物・昆虫・細菌・土壌・市場傾向・消費動向・機械・工事・修理・会計・体力・根気・協業能力・観察力...

一人前の「お百姓さん」になるってことは、すごいことなんだなぁ~って嘆息してしまう。

まぁいきなり全部できるようになる訳じゃないし、そうした諸々を少しでも身につけようと農業研修を受けているのだからね。
(と、自分を慰める...)

この1か月で、特に私が心を入れ替えて身につけて行こう思ったのは次。

「均一」
「片付け」
「欲張らない」

「均一」:
畝幅を均等に、畝同士を同じ高さ幅に、畝の表を滑らかに耕し、支柱を整然と立て並べ、マルチシートをぴったり、ピーンを張る。
高さ大きさ育ち具合が揃った苗を定植し、剪定は隣の株同士と揃える。
そのためには、育ちの遅れた苗や、育ちすぎた苗は、外していく。
これは「欲張らない」につながる。

「欲張らない」:
欲張ると損をする。
育ちの遅れた苗や育ちすぎた苗も、畠に定植すれば実をつける。
ちゃんと葉を伸ばす。花を咲かせる。
花を付けすぎた株も、それぞれの花を結実させる。
でも、そこからの収穫は市場に出すことのできない物になる。
実が小さい。
葉がいじけている。
味が悪い。
「もったいない」が「欲」から出ていると、結果は「もったいない」ことをすることになる。

「片付け」:
畠と作物を守るために、適時とっととやること。
切った葉茎根は直ぐに畠から出し、使った農機具は作業が終わったら直ぐにきれいに洗う。
農機具が高価で、少しでも長持ちさせたい、っていうこともあるのだけど、それよりも、畠の病害虫を他に移さない、って意図の方が大きいと思う。
健康な畠でも、その畠の土、作物は、他の畠に入れてはならないのだ。

きっと今までの日常生活でも、こうしたことは当たり前のことだったのだろうけど、能天気な私は、ここにきて、こうしたことが漸く身に染みている。


5月が始まった。
4月よりは、少しでもまともに畠仕事ができるようになって行くといいな。