フォロワーさんなら、
もう何度も話してきたから、
知っている方も多いと思います。
私の母は、私が12歳のときに
亡くなりました。
幼稚園の頃から母はよく
入退院を繰り返していました。
何度も手術をして、
だんだん弱っていく母。
それでも家に帰ってきたときは、
いつもキッチンに立って、
たくさんの料理を
作ってくれました。
その姿を見るのが、
私はとても嬉しかったんです。
お手伝いをすると、
「味見してごらん」って
スプーンを渡してくれて。
その一口が子どもだった私には
特別でそれがうれしくて、
私はよくお手伝いをしていました。
今でこそ彼に
「ちゃんと気持ちを言葉にする」
ことができる私だけど、
昔の私は人見知りで、
お友達もなかなか
できない子でした。
母は入院するたびに、
こう言いました。
「だまっててもね、
誰にも伝わらないんだよ。
言いたいこと
伝えたいことがあるなら、
そのときに
ちゃんと話すんだよ」って。
そして続けて、
「じゃあ、せいか。
練習してみよう。
今、お母さんに
伝えたいことある?」って
聞いてきました。
私はずっと我慢してたんです。
わがままを言ったら、
きっとお母さんに
負担をかけるって、
勝手に思い込んで。
でもそのとき、
思いきって言ってみました。
「お母さんと一緒に寝たい。
ごはんも一緒に作りたい。
一緒にお出かけして、
新しい筆箱を買ってほしい」って。
止まらなくなって、
次々に出てきました。
すると母は、
私を抱きしめて泣きながら、
こう言いました。
「ごめんね、たくさん我慢させて。
伝えてくれて
教えてくれてありがとう」って。
驚きました。
私はてっきり困らせて
しまったんじゃないかって
思ってた。
なのに返ってきたのは、
「ありがとう」だったんです。
その言葉が私の中に
深く残りました。
あぁ、気持ちを伝えるって、
こんなにも大切なんだって。
それから少しずつ、
私は自分の気持ちを
口にするようになりました。
伝えることって、
こんなにも楽しくて、
あたたかいんだって知って。
今、なおやさんとちゃんと
気持ちを伝え合って、
思いやれる関係でいられるのは、
きっと母が教えてくれた
この経験のおかげ
なんだと思います。
彼も、よく言ってくれます。
「気持ちを伝えて
くれてありがとう」って。
その言葉を聞くたび、
私は母の顔を思い出す。
自分の気持ちを、
大切な人にちゃんと
届けようって。
泣いてしまっても、
うまく言えなくても、
気持ちがあるかぎり、
伝えたいって思うから。
彼はそれをまっすぐに
受け止めてくれる人です。
私の言葉を笑って聞いてくれて、
ときには真剣に、
一緒に考えてくれる。
母が生きていたら、
今の私たちをどう思うかな。
ちょっと早すぎるって、
きっと心配するかもしれない。
でも、きっと…
「ちゃんと気持ちを届けられる
相手に出会えたのなら、
それは幸せだね」って
そう言ってくれる気がする。
母が私に残してくれた
大切な教えが、
今も私の中で生きていて、
それが彼との関係を
つないでくれている。
ありがとう、お母さん。
