前回の話しはこちら↑




放課後帰り支度を

していると、

また私の苦手なあの子が

近づいてきた。 




 「こないだせいかちゃんが

彼とスタバにいるの

見かけちゃったよ。

ねぇ高校生で同棲とかしてて、

重くないの? 

私だったらもっと自由に

恋愛したいな〜って

思っちゃうけど?」 





 私は「重いなんて

そんなことないよ」

って返すと





「それに彼氏年上すぎじゃない? 

おじさんって包容力

あるかもしれないけど、

 年近い人とじゃ、

ちゃんと恋愛

できないのかな〜って」 

 にこにこしながら、 

刺すような言葉を

淡々とそして続けた。

「まあ、せいかちゃんって

大人っぽいし。

 ちょっと変わってるっていうか…

お似合いかもね」




私は彼女の言葉に

イラッとした。

そして私はこう言った。

「それ、バカにしてる?」

 思わずそう返した声は、

 自分でも驚くくらい、

静かで低かった。 

 「年の差とかそういうのって、

そんなに大事? 

私たちはちゃんと向き合って、

 ちゃんとお互いを大事にしてる。 

想像で、勝手に決めつけ

ないでほしい 」






 彼女はムッとした表情で

「ふぅーん」とだけ

言っていなくなった。






気持ちがモヤモヤしながら

そのままバイトへ行った。

仕事が始まると、

私はいつも通りに笑顔をつくって、

雑務をこなした。






 彼とは、業務中

話すことはできない。

 けれど、ふと顔を上げると、

遠くから彼が静かに

こっちを見ていて、 

目が合った瞬間、

小さくうなずいてくれた。 





休憩に入ったとき、

休憩室の隅に

座っていた私のところへ、

 彼がそっとコーヒーを

置いてくれた。 

 「いつもの。甘いやつ。

せいか今日一緒に帰ろ」 

 それだけ言って

すぐに去っていったけれど、 

その背中がとても頼もしくて

愛おしかった。






仕事が終わって彼と一緒に

車に乗り込んだ時

彼がすぐさま

「学校でなんかあった?」って

見抜かれてて

昼間言われたことを

彼に話した。





彼は黙って聞いていた。

信号待ちのタイミングで

 私の手を握ってくれた。 

 信号待ちの間、

ふっと息を吐いてから

「そっか、そんなこと

言われたんだな。その子には、

俺とせいかがどんなふうに

毎日を過ごしてるかなんて、

わからない。

表面だけ見て言ってるだけだよ。

俺ね、せいかが高校生なのにって、

最初は悩んだよ。 

でもさ、年の差とか立場とか、

そういうことより 

“せいかじゃなきゃダメだ”

って思ったんだ。

 どんなに責められても、

俺はそれだけは変わらないよ。

今日も頑張ったねせいか」

 と言って

彼が手をぎゅっとしてくれた。





私は「ありがとう」と

だけ言って

彼の横顔をずっと見てた。

 私は今日も彼のそばに

いられるしあわせを

とても強く感じた。

私も彼じゃなきゃだめだ。