いつもキスするとき、
私は自然と目を閉じてしまう。 
ドキドキして、
恥ずかしくて、
 だから目を開ける余裕
なんてなかった。 





 でも今日はなんとなく、
 キスの直前にふと
「目、開けてみようかな」
って思った。 




 そっとまぶたを開けたら、 
ちょうど彼も私のことを見ていて
 ぱちっと、目が合った。 
 その瞬間ドキッとして、
 恥ずかしいのと、
うれしいのと、 
よくわからない気持ちが
一気に押し寄せてた。



 彼はふっと優しく笑った。 
 そしてそのまま
 とても濃厚なキスをしてくれた。 
 目が合った恥ずかしさを
忘れるくらい、
 気持ちのいいキス。




 キスのあと 
彼は私の頬に手を添えて、
言った。
 「あんな風に見つめながら
キスされたら、 
俺もドキドキして、
せいかのこと離せないよ」 



 その一言に、
顔が一気に熱くなった。 
 



「せいか、もう一回キスしよ。
 目、つぶらないでね」 
 彼がそう言った瞬間、 
胸がドキッとした。 



 私は彼の胸に
しがみつきながらうなずいた。 
 ずっと目をそらさず、
見つめ合っていた。 
 やさしくて深くて、 
まっすぐに私だけを
見てくれてるその目が、 
とても愛しくて。 




 「好き」って言葉に
しなくても伝わる気がした。
 大好きな人が、
こんなに近くにいる。 
こんなにちゃんと私を見てくれてる。 
 この人のそばで、
生きていきたい。
 そんな気持ちが、
あふれて止まらなかった。