昨日の法事の疲れが
少しだけ残っていたけど、
今日はどうしても、
彼のお母さんの顔を
見に行きたかった。
お昼ごはんを食べたあと、
2人で並んでキッチンに立って
「今日、何つくろっか?」
って相談タイム。
煮込み系なら明日も食べられるし、
冷蔵庫に入れて
おけるからいいね、って。
メモを持ってスーパーへ。
買い物中彼がぽつりと
「ひじきの煮物もいいな」
って言って、
私が「じゃあ、切り干し大根も
一緒に煮よっか」
って返した。
その何気ないやりとりが、
あったかくて、
ちょっと嬉しかった。
彼の実家に着いて、
チャイムを押すと
「はーい」ってお父さんの声。
玄関を開けてくれて
「わざわざありがとう。
母さんも喜ぶよ」って、
やさしく迎えてくれた。
リビングには、
お母さんがソファに
座っていて
「せいかちゃんありがとね。
昨日の法事、
大変だったでしょ」
って気遣ってくれた。
「無事に終わりました」
って報告して写真の話や、
親戚のみんなが彼のことを
褒めてくれたことも伝えたら、
お母さんがすごくうれしそうに
「それは良かった」
って微笑んでくれた。
そのあと「せいかちゃん、
なおやのこと
これからもよろしくね」
って言われて、
私は「はい」って、
小さくうなずいた。
「私が全部やりますから、
ゆっくりしててくださいね」
って声をかけて、
エプロンをつけてキッチンへ。
彼も「俺も手伝うよ」
って袖をまくって、
私の横に並んでくれた。
夕飯ができて、
食卓に並べると
「わあ、美味しそう!」
ってお父さんもお母さんも
笑ってくれて。
「せいかちゃんがいて
くれると安心するのよ」って。
そんなふうに
言ってもらえるなんて
思ってなかったから、
胸がじんわりあたたかくなった。
明日の朝や昼ごはんの
準備まで終わらせて、
シンクもピカピカにして、
「また明日来ますね」
って言ったら
「せいかちゃん待ってるね」
ってお母さん。
その言葉がなんだか沁みた。
帰り道、
「ちょっと寄り道してく?」
って彼に言われて、
うんって頷いた。
着いたのは小さなカフェ。
前に一度来たことのある、
落ち着いた場所。
「せいか、昨日も今日も…
疲れてない?」って、
やさしく聞いてくれて、
私は「ううん、大丈夫だよ」
って返した。
外をぼーっと眺めながら
カフェラテを飲んでいると、
スマホが鳴った。
彼のお母さんからのLINEだった。
『今日はありがとうね。
本当に助かりました。
あの煮物、
すごく美味しかったよ。
せいかちゃんが来ると、
家の中がふわっと
明るくなるの。
明日も楽しみに待ってるね😊』
読んだ瞬間、
胸がぽかぽかして。
利き手が使えないのに、
打ってくれたんだって思うと、
じーんとした。
「ねぇ、見て」って
彼にスマホを見せたら、
彼はとびきりやさしい笑顔で、
そっと私のほっぺを
撫でてくれた。
「もー見すぎ、
照れるってば」って、
彼に言った。
でも、心の中では
ずっと思ってた。
私、ほんとに幸せだなって。

