彼が少し早く
帰ってきたから
ふたりでスーパーに行った。
あの高かったキャベツが
なんと99円だった。
『え、安ーい!』って、
思わず声に出して喜んじゃった。
ロールキャベツが
久しぶりに作れる!って、
ちょっとテンション
上がり気味の私。
その様子を彼は
ニコニコしながら見ていて、
帰りの車の中で言った。
『せいかってほんとに高校生?
キャベツ安いだけで
そんなに喜ぶとか、
かわいいんだけど』って。
『そうかな? でもね、
本当にうれしかったんだよ。
ずっと高かったし
それに、なおやさんに
生活費もらってるし、
少しでも節約
しなきゃって思って』
そう真剣に話す私の頭を、
彼は撫でながら
『そっか、ありがとう』って、
静かに笑ってくれた。
夜ごはんはさっそく
ロールキャベツに。
余ったひき肉で肉団子も作って、
冷凍してお弁当用に。
ふたり暮らしだと
キャベツひと玉って
けっこう使い切るのに
時間がかかるから、
残りは回鍋肉とお好み焼き用に
カットして保存。
保存の仕方は、
昔、調理師だった母が
やってたのを思い出しながら。
キッチンで
テキパキ動いていたら、
なおやさんが後ろから
『せいかって、
ほんとにすごいな』 って
何度も言うから私は
『も〜褒めすぎ!』って
口では言ったけど、
心の中ではずっと、
うれしくて仕方なかった。