前回の話の続きになってます。
夕飯を食べ終えて、
家を出て車に乗った。
『わざわざ送ってくれて、
ありがとう』
そう言った私に、
彼は笑ってこう返した。
『大事なせいかの彼氏だからね、
当たり前だよ』 って
その言い方が
あんまりやさしくて、
胸の奥がきゅんとした。
友達の家の前に着いて、
エンジンを止めて彼がつぶやいた。
『気をつけてね。
夜、遅くなったら、
ちゃんと休むんだよ』
そう言って私の髪を
ふわっと撫でてくれる。
『じゃあ、いってらっしゃい』と
最後にキスをして、
私は車を降りた。
夜中の1時近くわいわいと
勉強してた部屋のなか、
私はなんとなく
スマホが気になっていた。
ちょうどそのとき、
友達に聞かれた。
『ねえせいかって今どんな人と
付き合ってるんだっけ?
なんか大人っぽい人って
聞いたけど…年上?』 って。
『15歳差、だよ』 って
答えると
『じゅ、じゅうご!?
せいか〜ヤバ!!』
みんな目を丸くしてた。
『でもね、年齢差は感じないの。
私、両親いないから
今は彼と同棲してるんだ。
すっごくやさしくて、
何でもちゃんとしてくれて...』
『なにそれ、もはや完全に
旦那様じゃん!』って
友達たちは大騒ぎ。
私は笑ってたけど、
彼の話をしてたらなんだか
無性に会いたくなって
スマホをそっとのぞくと、
ちょうど5分前に
LINEが届いていた。
《勉強、無理しちゃダメだよ。
せいか、おやすみ》
その一文だけで、
涙が出そうになる。
あわてて返事した。
《なおやさん、大好き。
おやすみなさい♡》
すぐに既読がついて、
返事が来た。
《俺もだよ。明日もまた、
ちゃんと伝えるからね。
せいか、おやすみ》
少しだけ感じてた寂しさが、
そのやりとりだけで、
ふわっとあたたかく
なっていった。
ああ、私ほんとに
なおやさんが好きだな。
画面を見つめながら、
そう思った夜だった。
