ふたり並んで
テーブルに座って 朝ごはん。
私はタイミングをみて言った。
『今日の夜、夕飯食べたら
友達の家に泊まりに
行ってくるね』って。
『うん、送ってくからね』って、
落ち着いた声で
彼は返してくれた。
いつもよりなんとなく
静かな朝ごはん。
たった一晩だけの外泊。
以前、叔母の家に
泊まったときもあったけど、
あのときよりも今日はなぜか、
寂しさが強く感じた。
私の口数が減っているのを
察したのか、
彼がふいに言った。
『土、日天気悪いみたいだね
ドライブの約束してたけど
どうしようか』って
言ってきた。
『なんかごめんねなおやさん。
急にお泊まり決まっちゃって。
天気悪いけど私、
ドライブ行きたい』って
言ったら
『謝ることじゃないよ。
友達大事にしてる
せいかのこと俺好きだし。
じゃあ明日迎えに行くから
そのままドライブいこうか』 って
優しい笑顔で言ってくれた。
『うん。ありがとう。
明日の朝LINEするね。
明日の朝LINEするね。
ドライブ楽しみにしてるね』って
笑顔で言ったら
「せいかは笑顔が1番。
っていうか俺、
夜もたぶんLINE
送っちゃうと思うけど」 って
彼のその一言がうれしくて
2人で顔を見合わせて
笑いながら
食パンをかじった。
たった一晩
少しだけ離れることが、
思った以上に心に
引っかかってるのがわかる。
でも、それでもちゃんと
笑顔で送り出してくれる彼が、
やっぱり、
いちばんやさしい。
