夜中、寝れずにいると
彼が『せいか』と呼んだ。
寝言だった。
うなされてる感じだったから
頭をそっと撫でてあげた。
彼が目を覚ましたから
『大丈夫?』って声をかけた。
『せいかがいなくなる
夢見てた、すごく悲しかった』と
言って私の手を握った。
『なんて夢見てるの?
私ここにいるよ』って
笑った。
夢が相当悲しかったのか
握っている手が
とても強かった。
『なおやさん
寄り添って寝よ』と
声をかけ
体の痛くない方を下にして
腕枕してもらって
くっついて寝た。
私はずっと彼の背中を
トントンと叩いていた。
彼はずっと
『あーほんとに
悲しい夢だった』と
繰り返し言い
『せいか、俺の側から
いなくならないでね』と
言った。
『ごめんね、なおやさん
心配かけちゃって』と
返事をして
彼の首筋にキスし
そのまま眠りについた。
本当なら
ギュッと抱きしめて
もらいたいけど
体、痛いからしてもらえない。
あー痛いの痛いの
飛んでけー
