法印転衣式の大事(だいじ) | ♫ラジオ寺子屋・高野山♫ 南山坊のブログ

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転衣式を終えて、金剛峯寺より籠に乗って御自坊の蓮華定院へお戻りになる第524世添田検校法印様。
写真をレトロなフィルターで見ると、あたかも古い時代のように見えます。
時代は刻々と移り変わっても法儀や装束は変わらず、その精神も引き継がれています。






この写真にありませんが、とりわけそれを象徴しているのは、検校法印様が黒襲(くろがさね)の装束より「緋衣」(ひごろも)にお召し替えられて大広間に戻られた時、伴僧(お付きの僧)が手に掲げる持物です。

伴僧の一人は「香炉」を持ち、もう一方が「法器櫃」(ほうきびつ・五鈷杵・三鈷杵・独鈷杵が入った箱)を慇懃に掲げて法印様と共にゆっくり歩みを進めます。

これは去る2月22日の「法印昇進式」で前年度の検校法印様より新検校法印様へ引き継がれたものです。これを「法器相承」(ほうきそうじょう)と言います。
※参考に下記の金剛峯寺FBページ「法印昇進式」をご覧下さい。金剛峯寺FBページ

この「法器相承」と共に前年度検校法印様が「付嘱」(ふしょく)を読み上げるのです。

要点を記せば「三昧耶形たる法器は大日如来の内證であり、弘法大師様が密教を伝えて以来絶えず伝わって嫡々と相伝している。その秘密法器をまさに付嘱(譲り渡す)するので大切に護持せよ」という事です。

つまり、真言密教の法燈のシンボル・象徴・三昧耶を護持する人こそ弘法大師の御名代たる「寺務検校執行法印大和尚位」(じむけんげょう しゅぎょう ほういん だいかしょうい)であり、更にまた「緋衣」もその表れといえましょう。

転衣式は検校法印様が赤い「緋衣」に召し替えられて内外に披露することを主眼としますが、実は上に述べた「法器相承」も極めて肝心な事と思われます。
そして、式中に「松三宝」の儀礼が行われますが、これも大師様の法脈をいただくという宗教的意味合いもあるようです。




【高野山金剛峯寺で「法印転衣式」 最高位の僧侶の就任祝う】