旧正御影供  | ♫ラジオ寺子屋・高野山♫ 南山坊のブログ

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本日4月21日は弘法大師が御入定(ごにゅうじょう)された旧暦3月21日にあたります。午前9時より奥之院旧正御影供・午後1時より壇上伽藍 御影堂で旧正御影供(きゅうしょうみえく)を執り行いました。

その法会の目的は、弘法大師の御入定を憶念(おくねん・深く心に留める)し、報恩謝徳(ほうおんしゃとく・恩徳に感謝する)によって、お大師様の御誓願(ごせいがん・誓い)を成就(じょうじゅ・願いを叶える)する事です。

奥之院と壇上伽藍を両壇(りょうだん)といいますが、いずれの法会も導師は検校法印(けんぎょうほういん)様です。但し、職衆(しきしゅう・参列する僧侶)は両壇で異なります。 

午後からの御影堂の法会では、法印様の衣帯(えたい)がとりわけ重要で、1年間に亘り弘法大師へ献備した御衣を身にまとうのは大師様の御名代(ごみょうだい)の証になります。(写真は午前中、奥之院の法会で駕篭に乗られた法印様)

また、両壇の法会内容も随分と異なり、奥之院は理趣三昧(りしゅざんまい・日常的に行われ、高野山では一般的な法会)、御影堂は複雑な御影供次第となります。

御影堂の職衆は年を重ねるごとに様々な配役があり十分な研鑽が必要です。更に、執行代(しぎょうだい・法印様の代理)は、他の職衆とは別に一人で諸作法を行じます。私は当月が執行代に配役されていたので、16日山王院月並、17日三宝院爪剥酒加持、そして本日とその役目を果たしました。

古来より先師様が紡いでこられた伝統厳儀を如法(にょほう・正しい仏法)に後世へ伝えることは、高野山のアイデンティティと言っても良いでしょう。










4月17日(旧暦3月17日)高野山 三宝院 爪剥酒加持(つまむきのさけかじ)にて執行代として導師を相勤めさせて頂きました。この日加持された爪剥酒は旧正御影供養御逮夜に三宝院様より唐櫃で御影堂へ運ばれて、弘法大師御前にお供えされます。※写真掲載許可済


爪剥酒は弘法大師の御母堂 玉依(たまより)御前が、もみを一粒ずつ爪でむいて、薬代わりの酒を造ったという故事があり、江戸時代に編纂された『紀伊続風土記』にも記されています。