自心に迷うが故に六道の波 鼓動す | ♫ラジオ寺子屋・高野山♫ 南山坊のブログ

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密教修法で用いる火舍(かしゃ)と柄香炉(えごうろ)などへ抹香を盛る作業を「香盛り」と呼び、高野山の流ではコの字型に盛ります。




基本的に自行で読経の場合は、ろうそくと線香に火を点けるだけで良いですが密教行法は香盛りや樒を法具の六器に並べるなど事前の準備が必要です。

護摩修法の場合は、当然ながら準備する支具(供物や護摩木など)が多いので準備にも時間が掛かります。



部屋が散らかっていると作業が滞りやすいように、大壇や密壇(法具を配して供物を供え、諸仏諸尊を招く場)も整然とすることによって身も引き締まり、仏さまに向かいあう心もおのずから輝きます。
まさに、信は荘厳より起こるのです。

私達の心の状態も散乱していては、何事も思うようにいかないので心の清掃が必要です。
とくにこの数ヶ月は自粛が続いて心身は疲労していることでしょう。

また、ここ数日緊張状態から落ち着きを取り戻してきた世間の雰囲気ですが、この流れに急に乗るのは過度なストレスが掛かります。

新しい生活様式とか行動変容といっても急にすべてを変える事はできません。

ここはあわてずに自分の心の状態を確かめながら、時には立ち止まり、そして前へと進んでいきましょう。


最後に弘法大師の言葉をお伝えします。

自心に迷うが故に六道の波 鼓動(こどう)し、心源(しんげん)を悟るが故に一大の水 澄静(ちょうじょう)なり。

澄静の水、影、万像(ばんしょう)を落とし、一心の仏、諸法を鑑知(かんち)す。衆生 此の理に迷って輪転絶ゆることあたわず。

蒼生(そうせい)(はなは)だ狂酔して、自心を覚ることあたわず。大覚の慈父その帰路を指ししめしたもう。
『秘蔵宝鑰』巻下

現代語訳

人々は自らの心に迷うがゆえに、六道というあらゆる迷いの姿の波は揺れ動き静まることない。
心の本源をさとるならば、広大な心の水は澄んで静まりゆく。

静かに澄みきった水が森羅万象のすがたを映すように、仏はあらゆるもののあり方(一切の事象)を知ることができる。

しかし、人々はこの道理を知ることができず輪廻転生を繰り返して抜け出せず、甚だ酔っているので目覚めることさえもできない。

慈父である仏はそれゆえに、私たちの帰る路をしめされた。


美しい風景を見て、美しい和讃を聴いてみましょう♫