今年は雪が少ない暖冬といえども、厳しい寒さの高野山です。それでも、庭に出てみると春の芽生えが咲いているではありませんか。
弘法大師は『秘蔵宝鑰』という書物でこのように述べられました。
「是の故に本覚内に薫じ、仏光外に射して、歘爾(こつじ)に摂食し数数(そくそく)に檀那す。
牙・種・疱・葉の善相続して生じ、敷花・結実の心 探湯不及なり」
現代語訳
「私達が本来的に持つ菩提心(仏心)が自らの心に育って外から仏の光に照らされると、本能におもむいていた心も摂食して他の人に食料を施したいう気持ちが生じます。
そして、私たちの善心の種はまず芽を出して膨らみ、やがて葉を繁らせて次第に成長し、華をひらき実を結ぶようになります」
どんな人の心にも菩提心という種が蒔かれています。いまだそれに気づかないで発芽せず花開くことはなくとも、心のありようを開発(かいほつ)することによって、慈悲心という花が芽生えます。
慈悲の心とは利他の心です。自らを利して仏心を成長させることは、まわりの人や地域、国、世界を幸せにする要因となるのです。
南無大師遍照金剛
南無十方仏
南無大悲観世音菩薩