花まつり お釈迦様のご誕生
昔も昔 三千年 花咲き匂う 春八日響き渡った 一声は 天にも地にも われ一人
これは 「花祭り行進曲」という仏教賛歌の歌詞ですが、春の花々が咲きほこる4月8日、お釈迦様のご誕生をお祝いする花祭りが開かれます。
高野山では仏生会といい、多くの寺院では灌仏会と称します。当山では平安時代の延久4年(1072)に金堂で行われた記録があり、明治になって金剛峯寺の広間に移されました。
仏生会では式師の僧が先立って抑揚のついた誕生会講式を独唱します。その節は常楽会や降誕会で唱える講式と同様に大変聞き応えがあるものです。
法会もいよいよ後半になると二人の僧が立ち並んで前へ進み、鮮やかな花で飾られた花御堂に祀られる誕生仏の頭上に杓で香水(甘茶)を灌ぎます。
これを灌仏といいますが、甘茶を灌ぐ理由は釈尊ご誕生の際、二匹の龍(難陀・跋難陀)が不老不死をもたらす甘露の雨を降らせて釈尊が沐浴されたことに由来します。
甘茶を濯ぐのは江戸時代からの故事といわれますが、この甘茶を貰い受け墨にして「千早振る卯月八日は吉日よ、かみ下虫を成敗ぞする」と書いた札を逆さに貼って虫除けにした民間信仰があったようです。近世ではこのように年中行事と俗信が混ざり合って庶民に伝わり、豊かな宗教的土壌が広がったのです。
『月刊高野山』2023年4月号
拙稿 高野山歳時記より
※参考
花まつり行進曲
明治41年
作詞 赤尾白嶺 作曲 成瀬鉄治
昔も昔 三千年 花咲き匂う 春八日(はるようか)
響き渡った 一声は 天にも地にも われ一人
立派な国に生れ出で 富も位もありながら
一人お城をぬけ出でて
六年(むとせ)にあまる御苦行(おんくぎょう)
円い世界の真中で
教(おしえ)の門を うち開き
かわける人にふりまいた
甘露の水は限りなし
何年たっても変わらずに
咲いたままなる 法(のり)の花
奇麗な一つを胸にさし
我らもまけずに励みましょう
花まつり行進曲
【追記】
弘法大師の御生誕をお祝いする"青葉まつり"では、高野山小学校の生徒が「青葉まつり行列の歌」を高学年が鼓笛隊として演奏し、低学年は旗を振って歌うことが昔から続いています。いつからか分かりませんが、少なくとも私が小学生の時から今に至ります。
そして、何とこの曲は「花まつり行進曲」の編曲(替え歌)でした。歌詞は下記の通りですが、メロディは同じです。
(一)むかしむかし一千年 たちばな匂う夏なかば 紫雲たなびく 朝ぼらけ 不思議や陀羅尼の響きあり
(ニ)立派な家に生まれられ 富も位も たのまずに もろこし船に法を得て 帰って開いた 不二の門
(三)朝日まずさす 日本から 世界のねむり さまさんと 誠の教えを ひろめたる 大師の御徳(みとく)は 限りなし
お釈迦さまと弘法大師のご誕生日に、同じメロディの歌が歌われていた事を知った時、本当に驚きました。
このような曲は、仏教讃歌として明治以降とりわけ浄土真宗で創作されましたが、真言宗(高野山)でもこの影響を受けて、一時は仏教讃歌がよく歌われたり、創作されたものです。例えば、高野山高校聖歌隊による「真言宗聖歌」という古いカセットテープがあります。
昨今は、そのような仏教讃歌が歌われる事は少なくなりましたが、高野山高校では毎年壇上伽藍の金堂で「音楽法会」を行っています。
高野山高校のYouTubeに上がっているのでご覧ください。



