御影堂にて

以前にも述べた事はありますが、御影堂（みえどう）は山内住職が五日間交替で修法（しゅほう）を執り行い、一日足りとも欠かすことはありません。

これを長日行法（ちょうじつぎょうぼう）といい、山内寺院の住職は一年に二度程その役目を勤めます。

御影堂で行法中に堂外から中を覗き込んで、「何も見えないね」と言ってそのまま立ち去る方もいれば、一昨日は障子の格子から堂内を伺っていた方が「お坊さんがいる！」という会話が修法中の私の耳に聞こえてきました。　

偶々振鈴（しんれい・密教法具）を振る頃だったので、堂内からチリンチリンと振鈴の音が響きました。

すると、外でいらっしゃった数名？の方が「こんなこともあるんだね、良い時にお参りできて良かった」と言うようなことを話していました。

確かに、1日の中で御影堂の行法は1時間程で、その時間内でも振鈴の響きが聞こえるのは僅かな時間です。

その時に偶然お参りする人は、稀有な事かも知れません。

御影堂内に灯される灯明の光、お香の香り、密教法具の響きは、密教の世界に触れる事ができる好機です。

毎日の時間は不定ですが、午前中に修する事が多いので皆さんも伽藍へお参りの際は耳を澄ませて手を合わせ、南無大師遍照金剛とお唱えしてお参りください。