万葉集 1−43 當麻眞人麿の妻の作る歌。
當麻眞人麿(たぎまのまひとまろ)の奥様は、大迫皇女(大来皇女)。
持統天皇の異母姉。大津皇子は同母弟。
父は天武天皇、母は天智天皇の娘の太田皇女。
伊勢斎宮でした。
大迫皇女が夫を偲んで作った歌です。
當間眞人麿より奥様の方が身分が高かったのか、夫の情報は見当たりません。
でも、歌を詠むぐらいなのだからいたのでしょうか。
最初から大迫皇女の歌と書けばいいものを、わざとわかりにくくしてあるように感じますね。
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吾勢枯波 何所行良武 己津物 隱乃山乎 今日香越等六
わが背子は 何處(いずく)行くらむ 奥(おく)つもの 隱(なばり)の山を
今日か越えらむ
【大意】
私の夫は今頃何処を旅しているだろう。隠の山を今日越えているだろうか。
隠(なばり)は三重県名張市のことらしいです。
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【宮古訳】
吾勢枯波=あせこは=男衆は
何所行良武=かしょぎょりむ=かせぎにいく
己津物=木津物=筑波産の綿製品(反物)
木津=筑波=紀の国
隱乃山乎=いんのやまよ=大苑=台湾
今日香越等六=きびこえとむ=君津こえ遠く
男衆は舟で貿易に行く。
筑波国産の反物を木津(筑波)から君津を超え黒潮還流に乗り遠く台湾に運ぶ。
伊豆の南岸には黒潮が流れていますが、そもそも…。
フィリピン諸島の赤道近くの東側から北に向かう黒潮の流れはその後… 台湾→西表→石垣島→沖縄→九州→四国→紀伊半島→伊豆諸島→房総半島→東太平洋へ→Uターン→黒潮南西へ→黒潮へ再度合流→上記を繰り返す。
(黒潮再循環流と呼ばれています)
の順番で流れてくる世界でも最大級の海流が【黒潮】です。
(ちなみに世界2大海流と呼ばれていて、一つは黒潮。もうひとつはアメリカアメリカ東岸を北上する北大西洋のガルフストリームです。
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大来皇女が夫の當麻眞人麿に対して作った歌ではありませんでした。
はじめての本です。よろしくお願いします。