道
オレは今、、成田空港近くのホテルで、今日の午前中のフライトを
待っている、、、今は朝の4時、、つまり早朝なのだが、周囲は
すでに夜が明け始めている、これからフィリピンの自宅に向かう
オレが、まだ忘れない内に、ついさっきまで見た<夢の中のオンナ>
について語りたい、、
その女は、テニスコートに居た、、ただ何気なく立っていた、しかし
ただそこにいただけで、別にテニスをするでもなく、白いテニスウエア
に身を包んで、オレに微笑んでいる、、次に場面が変わって、オレは
彼女が友人と住むアパートを訪ねるんだが、、どうも周囲の貧しさと
いうものを見るとここはフィリピンらしい、、そして彼女が部屋から
でてくるとワンピースの下には、素足にテニスコートで履いていた、
粗末なズックを履いていた
オレは彼女と何を話したのか,ハッキリしない、しかし彼女の顔が
昔の日活ロマンポルノ女優、山科ゆりに似ていて、どこか投げやりな
表情と、もう人生をあきらめてしまったみたいな虚無感があった、、
それから彼女は、オレのバイクの後ろに乗って、オレの家に向かう
のだが、、、、オレはいったい彼女を連れて、、これから彼女と
どんな関係をやろうというのか?、、、なぜならオレにはすでに
毎晩訪ねてくる4人のガールフレンドがいる、、いまさら彼女が
そこに割りこむ隙はない、、、、
映画<何処へ>のラストシーン、、田舎の教師を辞めた加山雄三が
これから向かう次の赴任先の向かう昭和41年、、、まだ周囲が
草に覆われた原っぱだった岐阜羽島駅で、、芸者の星由里子の運転
する車で送って貰った、そこのお別れのシーン、星由里子は車内で
タバコを吸っていた、もうすぐ二人は別れるのだがカーステレオから
流れる音楽に乗って、彼女は車から出て、道端でゴーゴーダンスを
踊りだす、それを見る加山雄三の表情に、別れの辛さはまったくなく
ただ 今後自分がむかう赴任先の、、どうなるか分からない人生を、
、、といういつもの若大将と澄子さんとはまったく違う、クールな
ラストシーンを思い出す、オレもこの山科ゆりに似た白いワンピース
のオンナと この先、どうなるか知っちゃいないのだ
# でもオレは、自分が今、現実にはいない、
夢の中にいるんだ、ということに気づいて
いる、、だってオレは老人なんだ
ナナ