今日は家の中を片付けようと整理していたところ、東京都新宿区で停電が発生した連絡がきました。10時すぎだったかな。東京電力にて復旧対応を順次おこなっていて、復旧完了の時刻は未定となっていたようでした。
新宿区の山吹町、矢来町、神楽坂で、およそ300軒ほどのビル・建物等で地域停電になってしまったようです。
どこかの建物の設備の不具合により、東電が停電し、そのため東電から送っている300軒ほどの建物までもが停電の被害に遭ってしまったようでした。
私が担当している建物もその中に含まれており、東電の復旧作業完了を待ってみようと、しばらく様子を見ていました。
正午頃、東電で復電対応が完了し、すべての需要家の送電が完了したとのことでしたが、私の担当している建物が1軒だけ、まだ復電していない(停電したまま)状態であることを、会社から連絡を受け、現地へ緊急出動することになりました。
地域停電が発生し、東電ではなく、どこかの建物からの波及事故になっているとのこと、また、東電では復旧作業が完了しているはずが、私の担当している建物が1軒だけ復電していないことを、現場に向かうなかで嫌な予感がしていました。
「波及事故かもしれない・・・」
★波及事故とは、あるビルで起きた電気事故が原因で、そのビルだけが停電するわけではなく、東電の変電所にまで影響を及ぼしてしまい、そのため東電の変電所を停電させてしまうことになり、その結果、東電から電気の供給を受けている他のビル、学校、病院、工場、一般住宅等にも停電の被害を及ぼしてしまう事故のことをいいます。。。
この被害の損害賠償の金額は、何千万円あるいはそれ以上にもなる膨大な賠償請求が、設置者宛てに来ることになってしまいます;;
近くのコインパーキングに車を止め、ひとまず、現地の状況を確認に行きました。
責任分界点(東電と需要家との電気設備の所有権・責任の境界のこと)で、検電器にて電気が来ているかどうかを確認したところ、反応あり、6600V 受電されている状態でした。
キュービクルが屋上にあり、ELVを呼ぼうとしたところ、反応なし、館内は停電している状態でした。
・・・屋上のキュービクルで事故があったのかもしれない・・・
不安を覚えながら階段で屋上までおそるおそる昇っていき、キュービクルを目にしました。
外観は特にいつもと変わらない光景でした。
キュービクルの扉を開け、中を確認すると、GR(地絡継電器)が動作したオレンジ色の表示が見え、LBS(高圧負荷開閉器)が開いて開放状態になっていました。
こういうときこそ、冷静に落ち着かなければいけなかった。
じっくりとよく考えれば、わからないことでもなかったと思う。。。
今日は天気が良かった。屋上では直射日光がガンガン、気温も36℃を超えていた。
暑かった。暑さが頭のなかの冷静さを奪ってしまったのか。
つくづく、自分の未熟さを思い知らされてしまった。 悔しいな。
GRが働いて(動作して)いたことを見て、このビルが波及事故の原因になってしまったのではないだろうか。
そう、思い込んでしまったのでした。。。
責任分界点では、MDS(モールドジスコン)を使用されており、波及事故予防のためUGSへの交換を推奨していたが、なかなか実現に至っておらず、波及事故の要因が拭いきれていないことも、脳裏に嫌な予感を呼び起こすきっかけになってしまっていたのかもしれません。
「高圧地絡」から、推測される主な原因は、
●ネズミ・鳥などの小動物の侵入による短絡事故
●引込ケーブルの内部に亀裂が生じたりする水トリー現象
などが一番に考えられます。
ネズミなどの事故ならば、どこかに焦げ跡が残ったり、金属部分が溶けていたり、ネズミなどの死骸が転がっていたりするはずですが、見当たりませんでした。
外観上では、特に異常が見られなかったため、一度、1階のMDSを開放して、高圧部分の絶縁抵抗測定を行なおうと考えました。
荷物の運搬や、1階と屋上とでの作業になることなど、もう一人、応援をお願いすることにしました。
いろいろとご教授くださっている大先輩で、リレー試験等を教えてくださった師匠が応援に駆けつけてくださいました。
ありがとうございました。
地域停電になって波及事故になったとすれば、LBSの2次側ではなく、引込ケーブル側に問題がありそう。
LBSの2次側に問題があれば、LBSが開いて、このビルは停電するが、東電までの波及事故にはならない。
復電の操作をしたところで、事故箇所の原因が特定できていないと、波及事故になる恐れがあり、怖くて復電させられない。。。"(ノ_・、)" グスングスン
絶縁抵抗測定し、引込ケーブル側も、高圧母線側も問題なく、ケーブルシースも異常なし、GRのリレー試験およびLBS連動試験も念のため実施してみましたが、問題ありませんでした。
原因が特定できず、調査開始から3時間ほどが過ぎていきました。
キュービクルの中、舐めるように見回してみても、どこも問題なく、焦げ跡ひとつすら見つけることができませんでした。
ただ、ほこりで汚れていましたので、この停電の機会に、碍子部分だけ拭き拭きしてあげました(*^o^*)
もう一度、状況を整理して、考えてみました。
●現地についたときは、1階のMDSには6600V 東電から送電されていた。
●屋上キュービクルのLBSは開放されていて、LBSの1次側まで6600V受電されていた。
●GRが動作したとの表示になっていた。
・・・あれ?
LBSの1次側まで電気が来ていたということは、引込ケーブルには問題なさそう。
もし、引込ケーブルに問題があれば、東電が再送電した際にまた停電してしまうから。。。
また、LBSの2次側の絶縁抵抗の値も良好で特に問題はなく、GRのリレー試験、連動試験も正常でしたので、復電操作をしても波及事故になる可能性は低いことがわかりました。
これらのことから、ひとつの推測が導き出されました。
どこか近くの別の建物で、高圧地絡事故が発生し、その建物から流れ出た零相電流(アース、地面を流れる、事故点から流れ出た電流)が、この建物のキュービクルの接地(アース線)から高圧母線を通り、ZCT(零相変流器)を通過し、東電へ流れて行ったと考えられますが、ZCTを流れた零相電流をGRが感知して、LBSを開放させ停電に至った。
また、東電が復電作業を完了させたにも関わらず、この建物が復電していなかったのは、当然ながらLBSが開放してしまったためですが、原因は、よその建物で起きた事故から招かれてしまった「もらい事故」の可能性が極めて高いという推測です。
明日、再度、東電に地域停電、波及事故の原因となった建物が、この建物からではないということの確認をしようと思います。
本日は、地域停電の原因箇所等、詳細の分かる方がご不在とのことでしたので、詳細は明日に持ち越しとなりました。
無事に復電ができましたので、不幸中の幸いでしたが、波及事故は本当に怖いです。
わざわざ、応援に駆けつけてくださってお休みのところ申し訳ございませんでした。
たいへん勉強になりました。ありがとうございました。
いろいろ場数ふんでいるつもりでも、まだまだ甘い。そう自分に言い聞かせてこれからも、勉強に経験を積んでいきます。
家に帰ってこれて、良かった。。。 ゆっくり休みましょう(@^∇^@) おつかれさま^^♪