マニアックな読者の皆様、こんにちは…

何故か、今年は休みになると天候が崩れる事が多い様な気がしますね。

それにしても、昨日のグランプリシリーズ中国杯での羽生結弦…本人の何としても滑りきると言う気概は称賛に値するが、本来は将来性を考えてコーチが止めるべきだろう。


写真 共同通信


昨日の衝突をBoxingに例えるならボクサーのカウンターを食らったような状態であり、脳が正常でない中での回転やジャンプを伴うフィギュアスケートをさせるのは余りにもリスキーである。
自動車事故でおかまを掘られた時のむち打ちと同様にその時点では大丈夫と思っていても、数か月後に後遺症が残らないとも限らないので直ぐに病院に連れて行き、精密検査後に安静にすべきだった。

その様な理由から、個人的には棄権をさせなかったコーチの判断は誤っていたと思う。

さて、読者の方から「日経平均に内在する爆弾の第二弾は未だですか?」と言う問い合わせがメッセージボックスに入っていたので簡単に触れたいと思います。実は忘れてました…失敬。

    日経ダウに内在する爆弾PartⅡ  詐欺的金融商品日経平均リンク債

相場が上昇し始めると証券会社や銀行は「この機を逃してなるものか!」と、様々な怪しいデリバティブの拡販に奔走します。
通貨オプションや通貨スワップは基本的に法人しか契約できない数億円単位の超ハイリスク商品ですが、個人向け商品の中にも信じられない様なハイリスクロウリターンのものが存在します。


極めて複雑な内容で、表向きの高金利で購買欲をそそり、アベノミクス相場に乗ってしまい思わず購入した俄か投資家の方も少なくないようです。
然しながら、これはオプション取引の一種で購入者は発行体に対するプットオプションの売り手になり、裏目に出れば投資金額の半値八掛けは当たり前と言う極めて損失リスクの高い商品で、通常は欧米では個人向けの販売には規制が掛かっている。

例えば、仕組み預金とかEB債などもその中の一つですが、本日は仕組債の代表格である日経平均リンク債なるものを分析してみましょう。

商品内容を把握する為に下記のリンク先を新しいタブで開き、下方にスクロールして御参照下さい。

            
  日経平均リンク債 年率3.10%

正式名称「早期償還条項付ノックイン型日経平均リンク債」・・・なんじゃ、それ??

複雑怪奇な商品概要ですが、これをご覧になってよく理解できたと思う人がどれだけいるでしょうか?
逆にパッと見てピンと来る(理解できた)人は絶対に手を出さない詐欺的商品です。

ノックイン条項…70%に一度でも触れたら満期日(判定日)にその時の日経平均価格に連動して現金(+3.1%の経過金利)で償還になる。
例えば、上記の条件で同じタイプの日経ダウリンク債が今日(2014/11/9)発行されたと仮定します。
日経平均の当初価格が17000円なら2.5年以内に一度でも11900に触れれば
判定日の日経平均価格と連動して現金で強制償還(+少々の金利)となって損が確定する訳である。
実体経済を伴わない金融相場では2年6カ月の間に11900円まで下落する可能性(確率)は非常に高く1000万円で債券を購入していれば700万しか返ってこないと言うやらずぼったくり商品になる。
仮に2年半後の日経ダウ平均が10200円まで下落していたなら元本の60%と3.1%(30/360ベーシス)の金利しか返ってこない。
1000万円のリンク債を購入していたなら600万+77.5万=677.5万円(税引き前)…2年半で32.5%の損失である。

それでは、日経ダウが19000円になれば、いじゃないか?などと思う人は絶対にこの商品を購入してはならない。何故ならば、商品内容が全く把握できていないという事になる。
詰まり、早期償還条項に書いてあるように判定基準日に110%になった時点で強制償還(ノックアウト)になるので110%以上の日経ダウ上昇分の利益は捨てなければならない。

掻い摘んで言えば、上記の場合は日経平均が18700円になった時点で早期償還になり、元本と30/360ベーシスの金利が受け取れるだけで、日経ダウ上昇分の利益は全く享受できないという代物。

◇仮に上手く行っても株価上昇分の利益は全く取れずに2年半で1000万+77.5万
◇逆に裏目に出れば元本が50%以下(半値八掛け)にもなり得る超ハイリスク商品。

2年半の間に11900円迄下落しないと言う保証は全くないし、この様なギャンブル性の高い商品の保有期間が2年半と言うのは余りにも長い。単純に言えば1年でも長いが、期間が短くなれば数理計算上、発行条件が悪くなるので金融機関は販売しにくい訳だ。

色々と説明してもかなり複雑で分かり難いと思われるが、要はこの様な発行体が主導権を持ち、購入者が(圧倒的に不利で)雁字搦めな条件で縛られた商品を買うのであればまだ日経平均のインデックス投信を購入する方がいいに決まっている…何故なら上昇すれば上昇しただけ素直に利益が享受できるからだ。
逆に思惑が外れて相場が下落基調になった場合には、早めの損切りだって可能な訳だ。


リンク債の場合は下落時には「どうぞ、ノックインしない様に」とただ指を咥えて祈るばかりである。

事実、リーマンショックの時には募集額が総計数百億~数千億の日経平均リンク債が全てノックインして購入者は敢え無く撃沈した事がこの商品の怖さを物語っている。

では、発行体はどの様な運用をしているのか?
発行体が単純にプットの購入(仕組債購入者はプットの売り手)で、運用益を出すなら市場でプットを購入すればいい訳だがオプション料金の損失が出る可能性があり、敢えてリスク回避の為に募集(公募)を掛ける意味があり、そこには絶対に利益を上げるための巧妙な罠がある。

発行体の運用に付いてはネットでも幾つかの解説が書かれていますが、正直なところ間違っているものが多く、単にプットオプションを購入している訳ではなく、その間の相場の上下(ボタラリティー)で利鞘を上げると言うのが本質な訳です。

その場合に、発行体(世界銀行等の金融公社で証券会社ではない)はデルタヘッジ(0~1)を掛けるのですが、この場合には先物を買うか合成先物を組成してフルヘッジします。
ですが、フルヘッジなのでこれだけではプラスマイナスゼロなので利益は出ませんよね。


然し、償還までの間に相場は何回も上げ下げするので、下がれば先物を買い増し、上がれば先物ポジションを売るという事を繰り返すのでボラタリティーの中で利益が積み上がります。

その際に、ノックイン価格(上記条件なら11900円)に近付けば、デルタは1に近付くのでオプションと同等の先物で対処しますが、いざ11900円になると思えば、ヘッジを一気に外す…詰まり、11900円手前ではでは大量の先物が売られて裁定解消の現物売りも伴って通常は一気に11500円程度までオーバーシュート(暴落)する訳です。

そして、購入者はノックインして、30%損失の段階から株価と連動して投資金額が上下する。

               購入者は目出度くノックインしてノックアウトである。


兎に角、これと同じ仕組みで最近になって各証券会社が取り扱っている他社株転換社債(EB債)と言うのもあるが、この場合には企業が対象なのでもっとボラタリティーが高くなり、購入者の見かけ上の金利は15%~25%と高くなるが、デフォルトや上場廃止になれば紙屑になるので最悪の事態に陥る。
実際に、ある不動産関連の企業のEBはリーマンショック後に上場廃止で紙くずになり、訴訟問題にまで発展した。

どちらにしても、自分が理解できない商品(下手をすれば販売側もその仕組みを理解出来ていない)には「条件(利回り)がいいから」という単純な発想で手を出したら大怪我をするので注意が必要である。

詰まる所、裁定取引やノックイン債などの下落方向にバイアスがかかる仕掛けが内在する日経ダウは常に暴落リスクを抱えている事になり、投資家はその絡繰りを認識して於かなければならない。naniwa335