マニアックな読者の皆様、こんにちは…

当ブログは原則コメント不可…多くの質問が書き込まれ個別には対応しきれない為です。

然しながら、メッセージにて非常に内容の深いものや真剣に経済や金融を捉えようとしている真面目な問い合わせが多いのでその中から今回は2項ほど抜粋して出来るだけ真摯に応答したいと思います。

1:アベノミクスで本当に経済は再生しますか?ニュースでは景気が上向いて来たと伝えられていますが全く実感がありません。(神○大学経済学部の学生さん)

そうですね…実感がある人は実際はごく限られた少数でしょう。
例えば、都会には金融資産が10億以上の人は沢山います。
兵庫だと神戸なら灘区や東灘、宝塚市や西ノ宮等は資産家が多いですね。
東京や神奈川などは50億以上の資産家は数えきれない程います。

その様な富裕層はある程度の株式や投信を保有している方が多く、リーマンショックでは大きな損失が出ましたが、例えば10億の内の1億円を株式に投資していて1/3になっても総資産10億の3%の7000万しか損失はない訳ですね。
その塩漬けになった株や投信の損失が7000万から2000万位まで回復したら最悪期から考えたら5000万も余裕が出来る。
そうなれば、諦めていた余裕資金が嬉しい誤算で膨らむので高級品(外車)や貴金属を買おうと思いますよね。
これを資産効果と言います。
株式は飽く迄もマネーサプライ勘定では株価純資産(もっと言えば会計上は負債勘定)価値しかないので利益を確定しない以上は本来の金融資産ではないのですが、評価額が上がる事で購買欲が膨らむと言うだけで、実体とは無関係です。
景気は気からと言うますがバブルと言う資産効果が齎した気分だけの高揚です。

ところが、90%以上の国民は無縁の世界…特に学生さんやサラリーマン、主婦にとってアベノミクス効果なるものは全く荒唐無稽で実感があるどころか、逆に輸入物価が上がったり、借りているアパートやマンションの家賃が上がったりしてデメリットが多くなります。

順番が前後しますが、アベノミクスで経済が再生する事は99%ないと考えます。

まず、金融政策だけで実体経済を立て直すのは不可能です。
マネーサプライを増やそうと幾らマネタリーベースを供給しても、実需に向かわなければ銀行は株式や国債で預金や日銀の貸付金を運用します。また、大きな問題は余った資金を海外のヘッジファンドや機関投資家に低利で貸し付けて、その資金が世界各市場を駆け巡り資産バブルを招きます。
これを円キャリートレードといい、サブプライムバブルの様な虚構の資産バブル誘発の悪の根源になる訳です。

これでは全て過剰流動性による単なる投機資金のマネーゲームにしか過ぎませんね。
金利が一定の水準以下になると、国民や法人は預金や債券を購入する意欲が無くなり、株式や為替等利益が齎さられるであろう各市場で運用しようとします。通常はその金利水準は2%と言われますが、日本は20年以上2%以下…これが、何を意味するかと言えば過剰な金融緩和が齎すのは実体経済とは懸け離れた投機資金による資産バブルだけですが、歴史が証明する様にバブルは何れ弾けて実体経済までが疲弊すると言う同じ轍を何回も踏む事になります。

流動性の罠(Wikipediaより抜粋)

金融緩和を行うと利子率が低下することで民間
投資消費が増加する。しかし、投資の利子率弾力性が低下すると金融緩和の効果が低下する。そのときに利子率を下げ続け、一定水準以下になると、流動性の罠が発生する。

利子率(名目金利)は0以下にならないため、この時点ではすでに通常の金融緩和は限界に達している。金利が著しく低いため、債券の代わりに貨幣で保有することのコストがゼロとなり、投機的動機に基づく貨幣需要が貨幣供給に応じて無限に増大する。

ケインズの見識によれば、「ジョンブル(イギリス人のこと)は大抵のことは我慢するが2分の利子率には我慢できない」ため、経験的に2パーセントの利子率を下回るような債券は売れ行きが極端に悪くなり流動性の罠が発生する。これは投資家の貨幣に対する取引需要を名目金利が下回ってしまうためであり、2パーセントという高すぎる債券価格(低すぎる利子率水準)のもとでは、人々は債券価格の下落(金利の上昇)を予想して貨幣で資産を保有するようになり、貨幣供給が増しても貨幣保有が増すだけで、資金は債券購入に回らず、市場利子率はそれ以上低下しようとはしなくなるためである。

この過程においては、マネーサプライをいくら増やしてももはや利子率は引き下がらず、民間投資や消費を刺激することが出来なくなるため、将来への期待に対する働きかけを除いて通常の金融政策は効力を喪失する。反面、クラウディングアウトは発生せず、財政政策の有効性は高まる。


幸いな事に又皮肉な事に今回のアベノミクス効果なるものは円安株高以外は全く機能しておらず実体経済は依然としてデフレのままで不況なので先週の様な株価が暴落しても実体経済に及ぼす悪影響は有りませんね。

詰まり、今回のアベノミクスなる曖昧な経済政策は虚構の妄想であり、先週の株価大暴落によって早い段階で円安株高は単なる投機筋の博打場(カジノ)である事に気付いた事は浮かれた国民に喝を入れられたという面で不幸中の幸いだと思っていいでしょう。
但し、大金を日本株投信に充てた年金生活者や団塊の世代の方に小金持ちの高齢者は痛い目に合うのは必至です。

質問者さんも投資するなら自分自身に投資して、自己啓発でスキルを磨きましょう…最大の資産(資本)は株でも通貨でも金(Gold)でもなくて貴方自身の人格や潜在能力です。

2:黒田総裁の金融政策は間違いで長期金利が上がると考えているようですが、どうしてですか?(銀行員:女性)

質問者さんは確かこのブログの考え方を上司に伝えたら「黒田さんの政策は妙案で長期金利は0.5%以上には上がらない。素人のブログなんか当てになるか。」と一蹴されたようでお気の毒でした。

実際に先週は長期金利が1.0%まで上昇しましたし、サーキットブレイカーも何回も発動されて株式市場のみならず国債市場も乱高下しています。株式市場のみならず国債バブルもいずれ崩壊します。
残念ですが、地銀の支店長クラス(友人にも居ますが…)では国債や株式の基本知識は備えていても金融経済知識に付いては皆無に近いと言えます。

余り伝えられていませんが、メガバンクは長期金利は早いうちに2%まで上昇すると見ていて国債保有比率を下げてきています。
それを買い支えているのが、地方銀行…本業の貸出業務はコンサル能力のない地銀では限界があり、日銀によって供給された資金を運用するのは国債しかないという危うい状況です。

詰まり、仮に長期金利が2%になれば長期国債は暴落の域に入り、減損会計が原則の銀行は大きな損失を被り自己資本比率を維持するために、今でも不調の本業の貸付業務を放り出して逆に貸し剥がしに走ると言う本末転倒な事象が生じます。

さて、正直なところ今回の様な金融政策にはほとほと呆れかえっています。
国債を無制限に買い入れて株式市場のまで介入する様な金融政策は政策とは言えず、単なる博打ですね…然も負ける確率が99%以上の破滅型ギャンブリング。

仮に経済が回復基調に向かって資金需要が高まった場合には、金利が上昇するので景気回復の腰折れを防ぐ為には輪転機を刷り続けて買いオペを続行するしかない訳ですね。

本来、インフレターゲットは貨幣需要が高まった時にインフレを抑える為に儲けられる政策…こんなのは金融政策や経済理論では基本雄の基本で常識ですが、経済学では相手にもされないリフレ派(高橋是清政策を盲信している信者)が、デフレ脱却にも有用であるとミスリードした世紀の愚作です。

仮に日本経済がデフレを脱却して好景気になった場合には、売りオペレーションで資金を吸い上げて貨幣需要を抑えようとしますがその場合に余りにも大量に日銀が国債を保有しているので金利の上昇をうまくコントロールするのは非常に難しくなる訳です。

例えば3%のインフレを抑える為に金利を5%にしようとしても日銀が少しでもさじ加減を間違えて市場で売却すればオーバーシュートして10%とか15%まで上昇する可能性が高く債券市場は混沌として短期コール市場まで悪影響を与えてリーマンショックの時の様に金融が麻痺して実体経済は大打撃を被ります。

デフレ下の金融緩和は目先の入口では非常に簡単ですが、金融引き締めという出口戦略は舵を取るのが難しく必ず大きな痛みを伴う訳です。
実際にFRBは、このジレンマに非常に難しい舵取りを強いられていて戦略を模索中なのに、経済規模が2.5倍の然もエネルギー資源の裏付けがある米国と同じマネタリーベースにすると言うのは尋常ではありません。

例えば、リフレ派と称するいい加減で無責任極まりない事を言っても許されるワイドショウでしか通用しない三橋貴明や勝間和代の様な下衆人が異次元の金融政策を机上で空論するのは許されるにしても、日本の中央銀行総裁が無制限の国債買い入れや株式市場介入などを公言して実行するなど正気の沙汰ではないと断言できます。

但し、現実にはデフレ脱却は不可能で2%のインフレターゲットも机上の空論で終わる確率が高いでしょうね。
何故なら、円安で輸入物価が高騰して必需品目は上がっても、企業の利益は国内では還流されない構造下では可処分所得が横ばいか微増にしかならず贅沢品はその分買い控えられて安くないと売れない状況に変わりはないでしょう。

もし、インフレターゲットが達成されるときは実体経済が伴う自然インフレではなくて皮肉にも財政規律の崩壊と日銀の施策に寄る円の失墜と同時並行して発生する国債暴落によって達成される可能性が高いという事です。

黒田日銀総裁は責任を取ると言っても総裁を辞めれば済みますが国民は彼の自己陶酔型のお遊びに付き合わされて大きな損失を被り、国益も大きく損なわれるのは確かだと思います。

安倍政権は参院選までは支持率を維持するが為に何とか日銀と結託して株式を買い支え、国債長期金利もその場凌ぎの口先介入で1%以下に抑えるでしょうが、参院選後は日経ダウは適正価格の12000~12500円迄下落してアベノミクスは無責任なマスメディアによって批判に晒され、10年標準物国債も長期金利は乱高下の末に2%まで上昇して黒田総裁は辞任を迫られるでしょう。

民主党圧勝数か月後~解散までの悲惨な状況が今回のマスコミのミスリードによって煽られ国民によって過大評価されたアベノミクスがこれもマスコミによって掌を返した様に虚構の経済政策であったと報道され始めた瞬間に安倍政権にも起こり得ないとは限らない状況ですね。             naniwa335