年も明けて早くも2週間

年初から円安が進み、日経平均は10800円まで上昇。
不思議なもので、自国通貨が安くなったら企業収益が上がり株価が上がるという歪な経済構造。
通常は、インフレヘッジとして株価を保有するのは間違いではない。
ところが、貿易収支や経常収支が赤字になれば、実質(実需)的な円安になり、企業の収益は上がらない。
輸出立国と言われる日本だが、日経平均銘柄でも70%は内需企業である。

詰まり、30%の自動車メーカーや電機メーカー、機械機器メーカーなどは確かに為替益が水増しされて利益が上がる。
然しながら、内需企業である通信機器やIT企業、薬剤メーカーや、金融機関に建設会社には全く恩恵が無いばかりか、円安によってコストプッシュが発生して、益々収益を圧迫する。

適度な円安…ドルが90~100円、ユーロが115~120円なら内外需合わせた企業全体としては、上手くバランスが取れるがこれ以上の円安が進んで、ドルが120円、ユーロが140円になると原発再稼働が実質的に不可能な現状では、高いエネルギー輸入コストや食料品輸入コストが掛かり、ガソリンや穀物などの生活に直結する必需品目の物価が上昇する。

ところが、頼みの綱であるトヨタやキャノンなどの大手は、上がった利益を内部留保するか、投資するにしても海外に投資するので国内には利益が還元されない。
また、他の中規模企業も不確実な経済状況では将来に備えて同じ様な行動を取り、数年間は従業員の賃上げは有り得ない。

結局、物価だけが上昇して可処分所得がただでさえ少ない若年層の生活はさらに苦しくなり、消費も滞る。
また、少子高齢化が先進国の中でも最も深刻な状況で消費税10%では賄えるはずもない社会保障費を維持するためには社会保険料を上げざるを得ない。

この様に冷静に考えれば、株価が上がって恩恵を被るのは一部の富裕層と株式資産を多く保有している大企業に限られる。
また、銀行などの金融機関や保険会社などもある程度の株式保有率を維持しているが、リーマンショック以前の様には保有していない。詰まり、。株式などのリスクオン資産は限定されている。

それに加えて、大手銀行は国債保有残高が肥大化している中で数%のインフレが発生すれば長期国債の価格はその10倍位の含み損を抱えて収益を圧迫するどころか、赤字に転落する。
一度金利が上昇すると歯止めが利かなくなり、ケインズ的な金融引き締めを幾ら行ってもインフレは収まらない。
逆に金融緩和で円をジャブジャブにして金利を抑えなければならないというパラドックスが発生する。
それは、資金需要の強いインフレではなく資金が回らない中でのインフレなのでハイパーインフレではなく、スタグフレーションを齎すという最悪のシナリオだ。

何が言いたいか?デフレ化でのインフレターゲットはこの様な出口のない短絡的で幼稚な政策なので必ず立ち行かなくり、最終的には袋小路に追い込まれて経済は破綻する。

個人的に好きではないが元大蔵省で元民主党議員の
藤井裕久氏も先週のプライムニュースで全く同じことを言っていたが、それに関しては全く異論はない。

兎に角、経済音痴の政治家は勿論だが、国民もマクロミクロを問わず経済金融に余りにも無頓着で知識が浅薄な状況ではマスコミのミスリードに簡単に乗っかってしまい既に根拠なき自民党の大風呂敷政策に期待してしまっている。
大衆心理だけに動かされる国民性は致命的で国家破綻など夢にも思っていないだろうが、少なくてもOne decadeの間に日本は一度破綻する。

さて、前置きが長くなってしまいましたがこのところのユーロの上昇は実体に即しているのか?

                                             答えは「NO」である


現状のユーロ圏は当面のユーロ危機を凌ぐためにギリシャやスペインの破綻を防ぐべく、ECBが際限なく融資して国債を買い入れている。
これは、アベノミクスと同様に財政に関する問題の先送りだけで、紙幣を刷り続けるだけなので途方もない借金を抱える事になる。
それでは、どうしてユーロ高なのか?円に対してだけでなくドルに対しても1.3500前後とクロスで上昇。

本当のところは、欧米の戦略的なものがあり欧米の為替安定を目論んだ為替操作の色合いが強い。
詰まり、日本などは眼中になく対中戦略として欧米が協調して経済圏を保持するという思惑が今回のユーロ高を齎している。
EU圏は非常に厳しい状況であるが、最終的にはギリシャを捨て、スペインの独立を容認するであろう。
問題はイタリアだが、経済規模が大きいのでこれに関してはイタリア国債が暴落しない様に独仏も強調して救済する筈だ。

以上の様に、欧米は世界戦略、マクロ戦略で経済に取り組んでいるが、日本は相も変わらず井の中の蛙的な戦略しか持たないのであるから、本来ならグローバリゼーションの中で浦島太郎になっている事に気づかなければならないが、その様な危機感を持っている政治家は皆無に等しいだろう…これに関しては自民党も然りだ。

兎にも角にもアベノミクスに浮かれている経済連や経済同友会の面々の意見を聞いていると虚しさだけが残る。
また、証券業界の飼い犬である証券アナリストは日経平均は12000円を抜けて13000円も現実的だと横並びのコメントをマスコミを通して流しているが、露店の占い師のレベルで株式市場に精通している一部の賢い投資家は誰も相手にしていない。

「貯蓄から投資へ」のスローガンの基に金融資産の大半を消失してしまった個人投資家は戻ってこないし、元手が少ない新規参入者も今回のバブルが弾けてなけなしの資金を失うのは想像に難くない。
500万の資金を1億にする確率は宝くじに当たるより低く、数ヶ月で全ての資金を失うのが落ちである。
本当の投資家は元手が10億位なければ長期投資は不可能な事を押して知るべしである。naniwa335