安倍総裁…流石に日銀のベースマネーで建設国債を買い取らせるなどと言った暴言はトーンダウンした。
民主党とは違い取り巻きに政策通がいるので、自重させた形だ。

憂国愛国の精神は時に琴線に触れる様な内容に踏み込む事もあり、個人的には総理の器は現状では彼しかいないと思っている。
また、中曽根や田中角栄の様な存在感はないにしても、基本的な品格がある。
田中角栄のばら撒き政策は高度経済成長という時代的な背景が彼の政策を後押ししただけで、成熟期をとうの昔に過ぎた日本ではケインズ的手法は最早無用の長物だ。
また、金権政治と言う品性を蔑にした政治手法は政治レベルの低下を齎した。
田中角栄をカリスマ扱いする風潮が、マスメディアにも未だに残っているが、過去の栄光に未練がましく纏わりつくだけで単なるセンチメントでしかない。
また、中曽根は国益を念頭にそれなりの手腕を発揮したが最終工程までのプランもコスト換算も考慮せずに原発推進と言うパンドラの箱をいとも簡単に開けてしまった。
民主党政権は確かに政権担当能力はゼロに等しかったが、莫大な借金や原発などの負の遺産は全て自民党の責任である。

自民党は確かに日本の高度成長に大きく寄与したが、ドイツの様に長期戦略はなく短絡的に目先の利益を追求したばかりに、今になって様々な弊害が露出してきて収拾がつかなくなってきてしまった。
米国の様に、資源もマンパワーも軍事力もあり、いざとなればユダヤとアングロサクソンが融合して金融で世界中の資金を還流させる術もある国とは違い、真面目で世間知らずで資源もない島国日本は米国の様な経済発展を急速にすべきでなかった。

さて、外交貿易については安倍総裁に一定の期待は持っているが、経済政策に関しては単なる妄想で上手くいかないのは必至である。結局、どうすればいいのか分からないのであのような頓珍漢なリップサービスが口から出てしまったのだろう。

それに大きな勘違いは、ンフレターゲットを設けて仮にインフレ率が2%になれば、金利も上がるのでただでさえ、設備投資を控え内部留保に重きを置く企業は借金をしなくなる。 
逆に建設業界も仮に公共投資で一時的に利益が出ても借入金を返済に充て、マネーサプライは減少する。 
詰まり、背反する政策がお互いの効果を相殺するので結果としてデフレに逆戻りする。 
また、米国ワシントンポストも「日本人はギャンブルに出た」と財政破綻を危惧している。 
国債の信認は失われ、規制が緩んだ国債先物市場で売り浴びされる懸念がある訳だ。 
そうなれば、2%のインフレでなく一気に臨界点に達して5%超のインフレになり、そうなれば長期国債は50~60%位まで価値が下がる…国債の大半を保有している金融機関は減損会計で純資産が吹っ飛び、貸し出しを凍結して貸しはがしに走り、最悪の場合は預金や債券を凍結する…預金封鎖だ。 
日本は国内で国債を消化しているから、米国とは違い暴落はしないなどという意味不明な三橋貴明を始めとするリフレ派と呼ばれる経済音痴が居るが、金利が上昇すれば国債価値が下落するという単純な構造を見逃している。
日本国債は信用があるから価値があり、高値水準を維持しているといった本末転倒な議論がなされているが、これは金融業界の都合のいい解釈で、いくら金融緩和をしても貸出先の無い銀行が国債で運用するしかない悪循環も確かにあるが、その様な側面よりも本来は保有する国債が下落するのを恐れて銀行が買い支えているのである。
本当に信用があるなら日本国債を海外機関投資家が買うのが当然だが、外人保有率は3%にも満たない。

インフレターゲットを設けてインフレを誘発すれば、減損会計が義務付けられている銀行は、資産が減少するので貸し出しを控えるどころか、ロスカット覚悟で一気に市場に国債を売りに出すような事になれば益々、国債は下落して金利は上昇すると言った歯止めの効かない悪循環に陥る。

この辺りの考え方は、欧米国家の方が圧倒的に整合性がある。 

この様な考察から金融緩和や公共投資を中心とした経済政策での経済活性化は凡そ現実的ではなく失敗に終わる。

然しながら、個人的に最も危惧しているのは日銀早川英男理事による円キャリートレード推進によるバブルの誘発政策だ。
各市場は高騰し見かけ上の金融資産は膨らむが実需を伴わない御法度の行為…日銀も八方塞で米国圧力も手伝って手段を選ばなくなってきている。 
選挙後も日経平均は投機筋の先物主導に裁定取引の現物買いも相まって突き上げられて上昇しているが、これは安倍発言が切っ掛けであったにしても、本質的には米国圧力による日銀のキャリートレード誘発政策が根本にあり、最終的には米国に資金が還流してサブプライムの時の様に日本国の金融資産が搾取されるというふざけたシナリオが待ち受けている。

この辺りの本質を自民党の議員が見抜いているとは思えない。
財務大臣が仮に麻生太郎にでもなれば如何にも頼りない。
結局、日銀幹部や官僚だけが良いも悪いも現状のマクロ的な金融の流れを把握しているので、自己の金融資産を保全し国家が崩壊しても最終的に生き残る事になる。
詰まり、自民党であれ政治家が官僚を使いこなすなど不可能で妄想にしか過ぎない。
確かに
霞が関の功罪は許し難いが、現実的には政治家が官僚の掌の上で転がされ続ける構造に変化はない。

兎にも角にも、今年以上に欧米や新興国を含む世界経済は立ち行かなくなり、最終的に外需依存の日本がそのカオスの中心になるかも知れない。                                                      naniwa335