サイゼリヤで大盛がなくなったのに、今更ながら知った。
いままで大盛にしようという感じがしなかったのだが、このたびほうれん草のパスタが復活したのを知って、出かけてみたのである。
大盛の価格を上げるということも考えられなくもないと思うが、そのあたりはコストとオペレーションを考えて、ということであろう。
筆者もマーケッターとして、かつていろいろなキャンペーンをやったことがあり、そのときに原則にしていたのは例外を全国展開の商売にとってはやるべきでないということ。キャンペーンの目的がぶれるのと、効果測定をきちんとしたいという気持ちの表れと、あと面倒なことをすることで頭も体も消費したくないというのがある。
さて、筆者の経験談を説明したい。
たとえば、Aという商品とそれに合わせて使ってもらいたいBという商品があるとする。AとBはどちらも同じ価格で同じ原価、仮に同じ在庫数だとする。(本当は違うけれど、わかりやすくするため。)。
AとBを一緒に買うことで割引にするというキャンペーンを行っていたところ、B2つで割り引けないか、という問い合わせがフリーダイヤルに入って、テレフォンオペレーターから、エスカレーションを受けた。
筆者は、瞬時に断った。
しかしながら、この部門長が営業上がりの全くのマーケティングド素人であった。彼の感覚では、それじゃあ、お客様目線ではない! けしからんということで、筆者の判断を後から訂正する旨の指示を出したのだ。
つまり、A2つでも、B2つでもAとBでも、それぞれ2個買ってくださいキャンペーンに変更になったのだ。
この愚行には呆れた。2個併せて使って、ファンになってもらおうというブランドの考え方から逸脱した行為であり、ただの値引きにすぎない。
百歩譲ってそれが正しい判断だとしても、マーケティングの実行責任者である筆者には何の相談もなく、上から直接指示をすることで、モチベーションを下げられたのである。
その後、そのキャンペーンは自分のキャンペーンという意識を一気に喪失し、適当にやり過ごした。
よくマーケティングでトレードオフが大事だといっているように、何かをやるには何かを捨てなければならない。大黒摩季のらららではないが、「何かやらなきゃ誰にも会えない」(やぶれかぶれという意味ではなく、戦略を持てということ)の部分がリフレインした。
サイゼリヤはこのインフレでも価格を変えずに頑張っているし、マーケティングがうまいのだろう。
当然、味もコスパを考えると最高だ。何度でもリピートしたくなる店のひとつである。
後日、ダメになったマーケティング事例をいくつか紹介したい。