タイの代表的絵本作家チーワン・ウィサーサ先生の、読んだ後遊べる絵本として、『ばあさんとじいさん』『はばひろ口のばけもの』(記事はこちら) をご紹介してきましたが、今回三部作?(と私が思う)の最後は、この作品
『よくふかなへび』
です。
これも国際子ども図書館が所蔵していて、図書館間貸し出しでわが街の中央図書館にとりよせてもらい、そこで閲覧してきました。
この作品は、ページが上下にわかれていて、ページ上半分はアラビア数字で1~になっていて、おなかをすかせた大蛇が、カエル、くま、ゾウ、トラック(運転手付き)、列車、とのみこんでいって、ヘビのおなかがその形になるというものです。
ついに最後は読んでいる子どもたちをねらってきますが、そこから、今度はページ下半分のタイ数字の部分をさかのぼって読むように指示されます。
すると、ヘビは苦しくなって、どんどんと吐き出していくのでした。
この絵本も、チーワン先生自ら読み聞かせる紙芝居の動画がありますが、この動画がつくられたのは、どうやら、本出版前のようで、ヘビは黒いヘビさんになっています。
そして、こちらの動画は、公認のものかどうかちょっとわからないのですが、たくさんの動画をあげておられるので、だいじょうぶかな?と、絵本のほうの動画をあげておきます。
ヘビさんが色あざやかになっていますね
この絵本の最後にも、ページを切り取る遊びがあって、カラーコピーして作ってみました。
円形のヘビさんの絵を点線にそって切り取って、糸と棒をつけるのです。
そして、こちらには、このシリーズのキャラクター「ふくろうおばさん」がこう語っています。
「きょうはやさしいヘビさんをごしょうかいしますね。
このヘビさんはちっともよくふかでないのよ。
そしてからだをまるめてから、ゆらゆらのびるのよ」
ということでこんなふうです。
びろーん、ゆらゆら
なかなかかわいいですね!
そして、ほかにも切り取ってサイコロを作れる部分(サイコロの目がヘビさんになっている)と、「ヘビとはしご」というすごろくの1種が描かれていて、それでも遊べるようになっています。
ヘビとはしごというのは、止まったマスにはしごがあったら、いっきにそのマスをはしごにそって進められ、ヘビのしっぽのあるマスに止まったら、いっきにそのヘビにそってマスをもどる、という遊びのようです。
実は初めてこの遊びのことを知ったのは、タイドラマ『Black List』という学園サスペンスものからです。
これ、配信版ではカットされていますが、公式YouTubeでは、いつもドラマ本編のあとに、スポンサー飲料の忖度(そんたく)ミニドラマがあるんです。
このミニドラマの主役はファースト・カナパンくん演じるジンベエ。
気になる女性を救うために、ボードゲーム部の主将に闘いをいどむのですが、助っ人に来たのが、期待していた頭脳派の仲間でなくて、本編の主役ナノンくん(役名トラフィック)。本編同様深刻な表情で現れます。
そして・・・ナノンくんはスクラブルゲームでぽんこつぶりを発揮。
そのとき「ヘビとはしごゲームなら得意だけど」
って言うんです・・・で、そのときどんなゲームか調べたんです・・・
(なおこのドラマは『Gifted』と同じくBLでない学園サスペンスものでとてもおもしろいです)
話を絵本にもどしまして、このように読んだあと遊べる絵本にしたというのは、チーワン先生が、学生時代から「ポータブル・ライブラリー」活動に加わり、絵本を見たことも無い地方の学校での読み聞かせで、子どもたちを楽しませるわざをいろいろと発明したのです。
そのことは『おはなしをたのしく語るには』という本にまとめられています。
チーワン先生がそのとき編み出したわざは
「語って描いて (「ラオ・パイ・ワート・パイเล่าไปวาดไป)」(このブログのこちらでご紹介しています)
「語って切って ラオ・パイ・タット・パイ เล่าไปตัดไป」(このブログのこちらでご紹介しています)
などです。
そして、チーワン先生はコロナ禍のときも、ステイホームの子どもたちのためにいろいろな遊びを考え発信されました。
そして今も絵本を創作するかたわら、いろいろなくふうを発信していらっしゃるのです