タイBLドラマの原作本が続々と刊行されています。
その中で読んだ、
『マイライド アイラブユー My Ride, I Love You』
これはおすすめです!
ドラマはこれから放送ですが、観る前に読んでも、こんなにおすすめポイントがありました。
1.タイドラマ好きさんなら、バンコクの情景も匂いも感じられます。
2.原作者は精神科医さん。作中の恋愛の悩み相談の回答がとってもいいです。
3.翻訳者が日本では数少ないタイ文学研究者の宇戸優美子先生。注が勉強になります。
ということで、ご紹介します。
1.タイドラマ好きさんなら、バンコクの情景も匂いも感じられます。
ひと昔前、日本語に翻訳されたタイ文学は、純文学が主でしたが、タイ文化が当時は日本になじみがなさすぎて、注がびっしりついていました。もう1行ごとといってもいいくらいに・・・文学研究には良いでしょうが、読みやすいとはいえないかも・・・
でも、タイドラマ好きさんがふえた今
きっとみなさんは、
「カーオマンガイ」
って書いてあったら、注が無くても、あああれね!ってわかりますよね。
(一応作中では最初に登場したらカッコで日本語名が書いてありますが)
おじさんが個人的にやっているバイク修理屋と書いてあったら・・・
「WHO ARE YOU」のナティーのお父さんや、「Romantic Blue」のMaiとMhen兄弟のおとうさんのやってたあんなお店ね!
って眼に浮かべることができるかも。
病院の中のセブンイレブンで、休憩中のお医者さんがコーヒーを飲む・・・という情景。
タイの病院って、「TharnType2」や「My Engineer」とかで見たあんな感じね、とうなづけるかも。
ちなみに、タイではコンビニのことは「セブン」っていいます。発音は、「セ・ヴェン(語尾上げる)」でむずかしいです・・・
この物語は、病院の研修医タワンと、先生を恋人(エリート男性医師)のところに送り届けるバイクタクシーの運転手モークのお話です。
モークがタワン先生を後ろに乗せて、バンコクの街中を走り回って、おいしい料理の店に連れていく、目にも浮かぶし、匂いまで感じられます
そういえば、タイに住んでいた時、タイ語を習っていたタイ人の先生(女性)が、
「バイクタクシーの運転手はみんなゲーレーเกเร(やんちゃ)よ!」
って言ったことがあります。
モークが最初のほうで、
「ぼくは不良じゃない」
って何度も言っているので、それを思い出してしまいました!
2.原作者さんは精神科の先生で、恋愛相談の回答がとってもいいです。
「ゲーレー」なイメージのバイタクの運転手さんと、すでに恋人のいるエリートなお医者さん。
モークは悩みます。
「好き」ってどんな感情?
相手が男性でも?
そして恋人がいても?
身分違いでは?
と身の回りのいろいろな人におずおずと相談していきます。
そうした人たちの答えがとってもいいんです。
そもそも、タイドラマは、まわりの友人たちや家族がとてもいいことが多いですよね。
この本もそれがとくに心に残るなあと思って著者紹介を見たら、なるほどとうなづかされました。
3.翻訳者が日本では数少ないタイ文学研究者の宇戸優美子先生
日本では、タイ文学研究者さんも数名しかいらっしゃらず、タイ文学翻訳者も同じことでした。
そんな中、お忙しい間をさいて、タイ文学の若き研究者でいらっしゃる宇戸優美子先生が手がけてくださいました!
この本は、一応食べ物の名まえなどに、カッコで日本語名を入れているくらいで、昔のタイ文学のびっしり注入りとくらべると、格段の差です。
ただ1か所、注のついたところがあって、それが、さすが研究者!
というところでしたよ。
タイ文学研究者がいかに少ないか、それに比べて、韓国文学の翻訳者が育ってさかんになったのは、実は韓流ブームも関連している、ということが下の対談にあります。
『東南アジア文学のこれから―書き手と読み手をつなぐ (前編)』
そして、後編では、タイBLブームにふれ、そこから翻訳者が育ってくれることを期待していることも語られています。
『東南アジア文学のこれから―書き手と読み手をつなぐ(後編)』
少し長いですが、おもしろいと思います。
そして、宇戸優美子先生の翻訳されたタイの短編小説(BLではありませんが)が、次のサイトで無料で読めます。
11号から19号まですべてに載せていらっしゃいます。
特に、16号は、以前ご紹介した、商業BL作家で活動しながら、別名で東南アジア文学賞を受賞したチダーナンさんの翻訳があります。
ブログはこちらです。
ということで、タイドラマ好きさんやタイ好きさんには、おすすめです。
日本でもタイ語翻訳者さんがたくさん育ってくるといいですね。
ドラマのトレイラーがきました!
本国ではもうすぐ放送です。
日本での配信も待ってまーす