サイレント本と読み聞かせ | タイの子どもの本日記

タイの子どもの本日記

タイの絵本や子どもの本、タイの文化などについてぽちぽちと書いていきます。もと日本人会バンコク子ども図書館ボランティア。ご質問などはメッセージにお寄せください。

 

先日JBBYの講座をオンラインで聴講して、「字の無い絵本」のことを「サイレント本(ブック)」ということを知りました。

 

サイレント本は、ことばの壁を越えて伝える力があるとして、芸術性と、多言語地域などで有効であったりするということから、IBBYイタリアで

 

SILENT BOOK CONTEST(公式サイトはこちら)

 

というものも開催されているそうです。

移民難民の人口の割合が日本と比べると桁違いに大きいヨーロッパでは、特に有効であるそうです。

 

字の無い絵本としては、有名なものとしては、日本でも人気がある、ショーン・タンの『アライバル』や、安野光雅さんの『旅の絵本』シリーズ、ガブリエル・バンサンの『アンジュール』など、大人でも楽しめるものがありますね。

 

かつては、「字の無い絵本は、損だ」という風潮もあったことは、以前このブログでご紹介しています。

「字の少ない絵本は損?『私の絵本ろん』(こちらをクリックくださいね)

 

赤羽末吉さんの『私の絵本ろん』から、『旅の絵本』でさえ出版前には否定的だった、というエピソードをご紹介しています。

もう一度抜き出すと、

 

「安野光雅さんの名作『旅の絵本』に文字がないということで否定的な親に、安野さんはテレビで反論していた。

「旅に出て景色をみて、空に解説文がついていますか。景色をみてそれぞれが感じることがたいせつなのではないですか」

というような意味のことをいうていたが、

「文字がない、乱丁だ。とりかえてくれ」と本屋にいうてくる人もいるそうだ」

 

赤羽さんの反論としては、

 

「大人は、こういう文字のない絵本は、すぐみてしまうし、字も覚えないし、損だと思うだろう。

だが、子どもはおもしろいと思えば、何十回も読むし、回を重ねるごとに、いろいろな発見もあると思う。」

 

ということで、私も賛成です。

 

しかし、サイレント本があまり日本で出版されない理由として、

 

「読み聞かせできない」

 

ということもあるそうです。

 

たしかに、大人と子ども二人くらいで、よりそってページをめくって、いろいろな発見を指さして見ることはできるでしょうが、

「お話し会」

など、おおぜいの子どもさんたちに読み聞かせるには、悩みますね。

 

私は以前、バンコク子ども図書館のお話し会で、

 

『かいじゅうたちのいるところ』

 

を読み聞かせにかけたことがあります。

 

 

この絵本はご存じのとおり、途中、マックスとかいじゅうたちの行進のシーンが何ページか、文字がありません。

 

ところが、私はそのときひらめいたのでした。

音楽をつけてみよう、と。

 

そこで活躍したのが、二つ前のブログでご紹介したタイの古典楽器ラナートと、(ブログはこちら)

同じく、古典楽器の小さいシンバルの「チン」です

タイの子音いろはの「コー・カイ」で、「チョーはチン(小シンバル)のチョーฉ ฉิ่ง」って使われているものです。

 

この写真はどちらも私の買ったおみやげ用のものですニコニコ

 

あとは、寄贈していただいた電子キーボードが子ども図書館にはありました。

これをメインに使おうと思いました。

 

読み手は低い迫力のある声を出せる方で、幼稚園教師経験のあって読み聞かせがばつぐんに上手な方が担当されました。(マイクを通さなくても声がとおるということもあって、「バンコク子ども図書館の和田アキ子」っていう通り名が・・・照れ

 

そして私が、何か降りてきた?即興のそれっぽいドガジャガしたマーチふうの音楽を電子キーボードで鳴らして、ラナートとチンを、ほかのボランティアの方に合わせてもらいました。

息もぴったり!練習のときから打ち合わせなしでうまくできました爆  笑

 

なかなか雰囲気が出てわれながらよかったと思います(自画自賛)ニヤリ

それとともにこの絵本をたくさんのお子さんたちに紹介できたこともうれしかったです。

 

このように、サイレント本が、もし絵が大きければ、音楽をつけてゆっくりめくっていく、というやりかたもあるかもしれません。

(その場合、一つの音楽のイメージが固定化してしまう、という危険性もありますが・・・)

 

私はピアノなどはヤマ○音楽教室と小学校三年生まで習ったピアノ経験しかありませんが(自分ながらどヘタなのでやめた)、

『まりーちゃんとひつじ』このブログのこちらでパネルシアターと大型紙芝居にして演じたごとをご紹介しています)

人形劇『なぞなぞのすきな女の子』

を演じるとき、劇中音楽は、何か降りてきた自作のものを使いました。

そうしたら、著作権?とかいりませんよね。

『なぞなぞのすきな女の子』の劇中歌は、著者の松岡享子先生がバンコクにいらっしゃったとき直接聴いていただきましたからだいじょうぶ!?爆  笑

(ちょっとあぜんとされてはいらっしゃったようですが・・・ニヤリ

 

 

(余談・私はなぜか日本昔話系を読むのがじょうずということで「子ども図書館の市原悦子」とおだてられていました・・・)

 

『かいじゅうたちのいるところ』はタイでも出版されています。

 

 

ご紹介した本の詳細はこちらをごらんくださいね。