『みんなうんち』がタイで出版されたわけ | タイの子どもの本日記

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タイの絵本や子どもの本、タイの文化などについてぽちぽちと書いていきます。もと日本人会バンコク子ども図書館ボランティア。ご質問などはメッセージにお寄せください。

偶然ですが、先日来、タイの書店に五味太郎さんの『みんなうんち』が翻訳されて出版されているのに気がついた方が何人かいらっしゃいましたニコニコ

 

 

 

題名がまずインパクトありますよね!

たとえば、タイ語をとても勉強されている方のこちらのブログにも。

「「みんなうんち」五味太郎作 かがくのとも絵本もタイ語になってます」

 

私はこれは持っていないのですが、実はほかにもタイではたくさんの日本の絵本が翻訳されているのですよ。

タイでは、「語り」の文化が長かったこともあり、絵本という形の本が出るようになったのは1970年代ごろから。

そして、日本などの外国絵本が出版されるようになったのは1990年代くらいからなのです。

中でも日本の絵本は最初は上にあげたような『おおきなかぶ』『ぐりとぐら』『はじめてのおつかい』など福音館書店の本が最初はたくさん出版されました。実はその理由があるのです。

 

それは、この本に書いてあります!ニコニコ

2000年5月に「大阪国際児童文学館を育てる会」から出版された

『海外客員研究員にきく私の国の子どもの本 アジア編』

というもので、中でタイについて、対談をされているのが日本語がたんのうなポンアノン・ニヨムカー先生です。このブログにもたびたびご紹介しています(たとえば、「ポンアノン先生がタイ語に翻訳した日本の絵本」(こちらをクリックください)」や、カテゴリー「バンコク子ども図書館物語」など)

当時アマリン社というタイの出版社の中の、プレーオ・プアンデック(こどものとも)という児童出版部門の編集者で、日本語絵本の翻訳者でもありました。

 

どうして最初は福音館書店の絵本をたくさん出版したのですか?というインタビューに、

 

「アマリン社の社長は、ずっと子どもの本を作りたいという気持ちがあって、93年8月に松居先生(注・福音館書店の当時社長だった松居直先生)を招待して研修会をしました。その時たまたま私が通訳をして、私も絵本を作りたいと思って、94年1月に編集者としてアマリン社に入りました」

 

松居先生は、何冊かの本を紹介してくれたのですが、

 

「何冊かは今でも著作権がとれません。タイの会社が無名だから売ってくれないのです。でも福音館はすぐに売ってくれました。応援もしてくれています」

 

ということだったのです。

 

この冊子は入手しがたいかもしれませんが、新しいところでは、東京子ども図書館の機関紙『こどもとしょかん』2017年秋155号に、ポンアノン先生の

『タイの子どもの本の25年』という記事が載っています。

上にリンクした子ども図書館のホームページから購入できるようですよ。

 

 

1999年にタイで出版された『子どもと青少年のための良書500冊』という本があるのですが、

 

その中で、5才までのおすすめ本の中のタイで翻訳出版された日本の絵本はこのようになっています。

 

0ー3才

『おなら』

『みんなうんち』

『くまくん』シリーズ

3ー5才

『ぐりとぐら』

『はじめてのおつかい』

『ぐるんぱのようちえん』

 

ちなみに、タイで出版された外国絵本は次のようなものがあります。

 

3-5才

『わたしとあそんで』

 

5-8才

『うさぎとかめ』(ブライアン・ワイルドスミス)

『ライオンとネズミ』(ブライアン・ワイルドスミス)

『ろばとこどもとこなやさん』(ブライアン・ワイルドスミス)

『しろいうさぎとくろいうさぎ』

『にじいろのさかな』

『スイミー』

 

(ワイルドスミスの本は松居先生の推薦だそうです)

 

その後今では飛躍的にたくさんの日本や海外の絵本が翻訳出版されていますよ。

松居先生の新しい著書もおすすめです。

 

 

 

(リンクさせていただいたブログに、タイではペーパーバックが多いということが書かれていますが、それは価格をおさえてたくさんの子どもたちに読んでもらうためなのですニコニコ