日大アメフト部員のレイトタックルについて | 渡る世間にノリツッコミ リターンズ(兼 続日々是鬱々)

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フリーライター江良与一のブログです。主にニュースへの突っ込み、取材のこぼれ話、ラグビー、日常の愚痴を気の向くまま、筆の向くまま書き殴ります。

かつて、日大のアメフト部といえば、強豪中の強豪だった。本場アメリカのチームに勝つことを目標にした篠竹監督の下で、数々の独創的な戦術を生み出し、黄金時代を長く続けていた。国内のチームは日大のチームに追いつけ追い越せで頑張ったが、圧倒的な力の差があったというイメージがあった。

 

国民皆学である現在では、有力選手が分散してしまう上に、戦術の研究も進み、必ずしも日大だけが強いというわけではなくなったが、それでも昨シーズンは十数年ぶりに大学日本一に輝いたそうである。

 

その名門チームの一員である選手が、プレー終了後に弛緩しきっている相手に対して、背後から猛烈なタックルを見舞い、退場に追い込んだばかりか、しばらくは治療が必要なほどの怪我をさせたとして世を騒がしている。TV等で紹介された動画を見る限り、明らかに、故意に遅くタックルしたのは事実のようだ。問題は、監督が、「部員自身がやったこと」として雲隠れしていること。部員は部員で「監督の指示でやった」と言っているし、こればかりは当事者でないとわからないオハナシだが、結果として関西学院のQBは痛い思いをしたし、日大としても大学の品位を疑われる事態に陥ってしまった。

 

アメフトはQBの才能に大きく左右されるスポーツである。したがって、有能なQBを「潰してしまえ」と指示することはよくあることだろうし、指示そのものは何ら問題ない。問題はどんな卑怯な手を使っても潰せ、という指示が出ていたか、あるいは部員がそこまで深く思い込んでしまったかしたことにある。

 

かつて早稲田大学ラグビー部の監督であった大西鐡之祐氏は「ラグビーは、相手の命に関わるようなを怪我をさせようとすればいつでもできるスポーツだ。それゆえ、プレーするものは、どんな状況下であれ、相手を傷つけないように心がけねばならぬ」と選手たちに説いたそうだ。アメフトも、一歩間違えば死の危険すらある激しいスポーツだ(余談だが、アメフトでヘルメットや肩パットに代表される防具が導入されたのは、生身の体でプレーするラグビーがあまりにも危険だから、という理由による)。であるがゆえに、選手には人一倍の高潔さが求められるはずだし、指導者は、そのように指導しなければいけないはずだった。

 

プレー中にアクシデントとして怪我をさせた場合ですら、試合後には正式に謝罪するのが「世の常識」。プレーが切れた後の明らかな反則で怪我をした選手に対して謝罪もせずに、責任のなすり合いを繰り広げるとは呆れを通り越して悲しみすら感じる。そんな汚いことをして試合に勝ったところで胸がはれるのか?一人の人間として心が痛まないのか?選手に間違った指導を行った指導者には指導者という前に大人の人間としての道徳が欠如していると言わざるを得ない。

 

同じ技術を教えるのなら、あくまでも正当な方法で相手を潰す方法を教えろってんだ。篠竹監督は草葉の陰で泣いているかも知れない。