久々に、こちらの三冊を一気に読み返しました。
王国〈その3〉ひみつの花園 (新潮文庫)
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王国〈その2〉痛み、失われたものの影、そして魔法 (新潮文庫)
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この本を初めて手にとったときというのは、とても病んでいたとき、病院の待合室で(笑)
薄暗い、なんともいえない空間に、ひとりでぽつんといた風景を思い出します。
だから再度手にとって、どんなに明るい空の下で読んでいても、ほの暗い感じがする。
あの時、揺さぶられた何かが上手く言語化できなかったけど、今回読みなおして、やっと言語化できた感じです。
その1、その2では、自分の感覚を大切にすること。丁寧に生きるということ。
自分の感覚を、人のせいにせず本当に本当に実感しているのか
テレビの例じゃないけど、都会だろうが自然だろうが関係なく、出会ったものにもっと丁寧に向き合っているのか?突きつけられているような気がしました。
その3では、人にせよ、立ち位置にせよ、流れにせよ、自分の場所ではない何かから元の流れに戻る、特に『別れ』の過程を丁寧に書かれた感じであります。
それは、やはり痛みを伴う。
なんていうか、じくじくじくじく化膿寸前までいきそうなジメジメした傷。かさぶた剥がしにも似ているかもしれない。
主人公の雫石に、「あーもう、じれったいなあ」という思いではなくて、寄り添うように感情移入してしまうのは、雫石が、「その感情がなんであっても消化するぞ」的な、1つ1つの思いをしっかりと受け止めているからでしょう。
不思議と、どの登場人物に対しても不快感を抱くことはなく、「あ、生きる場所が違うとはこういうことなのか。」と、外からそこに起きた出来事をじっと見つめている感じでした。
それぞれが元の流れに戻っていくというか。
元の流れに戻る、それがここのところの自分のキーワードのような気がしました