『王国』よしもとばななを読み返し | 働くママの時間術

働くママの時間術

(旧ブログ名 なんでも経理かあさんの読書と育児)
新ブログ http://jimuko.blog.jp/ に移転しました

久々に、こちらの三冊を一気に読み返しました。



王国〈その3〉ひみつの花園 (新潮文庫)
よしもと ばなな
新潮社
売り上げランキング: 14145

王国〈その2〉痛み、失われたものの影、そして魔法 (新潮文庫)
よしもと ばなな
新潮社
売り上げランキング: 14894
王国〈その3〉ひみつの花園 (新潮文庫)
よしもと ばなな
新潮社
売り上げランキング: 14145

この本を初めて手にとったときというのは、とても病んでいたとき、病院の待合室で(笑)

薄暗い、なんともいえない空間に、ひとりでぽつんといた風景を思い出します。

だから再度手にとって、どんなに明るい空の下で読んでいても、ほの暗い感じがする。


あの時、揺さぶられた何かが上手く言語化できなかったけど、今回読みなおして、やっと言語化できた感じです。


その1、その2では、自分の感覚を大切にすること。丁寧に生きるということ。


自分の感覚を、人のせいにせず本当に本当に実感しているのか

テレビの例じゃないけど、都会だろうが自然だろうが関係なく、出会ったものにもっと丁寧に向き合っているのか?突きつけられているような気がしました。


その3では、人にせよ、立ち位置にせよ、流れにせよ、自分の場所ではない何かから元の流れに戻る、特に『別れ』の過程を丁寧に書かれた感じであります。


それは、やはり痛みを伴う。

なんていうか、じくじくじくじく化膿寸前までいきそうなジメジメした傷。かさぶた剥がしにも似ているかもしれない。


主人公の雫石に、「あーもう、じれったいなあ」という思いではなくて、寄り添うように感情移入してしまうのは、雫石が、「その感情がなんであっても消化するぞ」的な、1つ1つの思いをしっかりと受け止めているからでしょう。


不思議と、どの登場人物に対しても不快感を抱くことはなく、「あ、生きる場所が違うとはこういうことなのか。」と、外からそこに起きた出来事をじっと見つめている感じでした。


それぞれが元の流れに戻っていくというか。


元の流れに戻る、それがここのところの自分のキーワードのような気がしました