刑法の学説問題とは,平成30年司法試験設問2,令和元年司法試験設問2で問われたような問題です。なお,平成30年設問3,令和元年設問3も,複数の理論構成を問うている点で,この出題類型に入ると考えてもいいかもしれません。
(平成30年)
〔設問2〕 【事例2】における甲の罪責について,以下の⑴及び⑵に言及しつつ,論じなさい(特別法違反の点は除く。)。
⑴ 不作為による殺人未遂罪が成立するとの立場からは,どのような説明が考えられるか。
⑵ 保護責任者遺棄等罪(同致傷罪を含む。)にとどまるとの立場からは,不作為による殺人未遂罪が成立するとの立場に対し,どのような反論が考えられるか。
(令和元年)
〔設問2〕【事例1】において甲が現金を引き出そうとした行為に窃盗未遂罪が成立することを前提として,【事例2】における乙の罪責について,論じなさい(特別法違反の点は除く。)。
なお,論述に際しては,以下の①及び②の双方に言及し,自らの見解(①及び②で記載した立場に限られない)を根拠とともに示すこと。
① 乙に事後強盗の罪の共同正犯が成立するとの立場からは,どのような説明が考えられるか。
② 乙に脅迫罪の限度で共同正犯が成立するとの立場からは,どのような説明が考えられるか。
まだ過去問の蓄積が少ないので,何とも予想が難しいのですが,出題可能性が高いのは以下の2つの特徴を持つ論点なのではないかと思います。
・学説による見解の対立が激しい論点
・見解によって結論に差異が生じうる論点
以上の観点から,令和2年度の試験で狙われそうな論点をピックアップしてみました(平成30年,令和元年で問われた論点は外しています。)。いわゆるAランク論点に絞りました。
平成30年には不作為による殺人と保護責任者遺棄罪の区別が問われていて,かなり細かい論点まで出題するなという印象でした。ただ,このような論点における学説の対立まで押さえているという人は少ないはずなので,とりあえずAランク論点だけ押さえておいて,細かい論点が出てしまったら現場で対処するという方針でいいのではないかと思います。
【総論】
・因果関係
・被害者の同意
・原因において自由な行為←予想論点攻略講座に入れました
・早すぎた構成要件実現(含 実行の着手時期)
・遅すぎた構成要件実現(ヴェーバーの概括的故意)
・中止犯
・承継的共犯
・共同正犯と正当防衛(過剰防衛)
・共犯と身分
各論はまた後日書きます。